第68話:Love!(vs Evil).44






 ツ――――…

 目を見開いた羚亜の頬にも、血が飛び散っていて、



 目の前には、肩から血を流す、薔が立っていた。





 「なんで…?」
 この、なんで?が問いかけたいことは、いくつかあるのだけど、

 「会いに行くんだろ?行ってやれよ、はやく。」
 少しの風を浴びて振り向くと、薔はただ微笑んで言った。




 「…………っ、」
 今にも泣き出しそうな顔をして、羚亜は走り出した。

 「行かせろよ?オマエらの狙いは、俺なんだろ?」
 鋭く睨みつけた薔は、裂けたブレザーを脱ぎ捨てる。




 「あんなんでいつも、切ってたのか?」
 赤く染まりゆくシャツの腕を、まくろうとした薔だったが、


 ぐらり…


 突然、激しい眩暈に襲われた。




 「あらやだ、この薬ヴァンパイアには効かないんだけど、人間の場合はひとたまりもないのよ?」
 笑って言った狼男は、ナイフの血をゆびに取る。
 ナイフにはどうやら、何らかの薬が塗ってあったようだ。




 「は……っ、」
 微かな息を吐いてから、


 フッ―――――…


 薔は、意識を失った。





 地面に倒れ込むことなく、そのからだを悪魔が抱きかかえ、

 「この子すっごく可愛いから、殺る前に犯りたいのよねぇ。」

 舌なめずりをした狼男は、不気味な言葉を口にしてから、

 シュルッ…

 薔のネクタイを、解いた。




 「うーん、おれ男だけど、この子なら犯れそう。」
 「どっか空いてる教室、使わせてもらいましょ、バレやしないわよ。」

 教室はほとんど、空いているんだけどね。
 ふたりとも男、なんだけどね。



 それよりなによりキミたち、

 この物語のジャンルはね、

 ティーンズラブ、それすなわち、ノーマルラブなんだよ!?










 …――It's not a case where such a thing is said!!

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