第68話:Love!(vs Evil).44







 「つまりはお前ら、何も覚えてねぇんだな?」
 「あぁ、昨夜からの記憶がないんだ。」
 「そぉぉなのぉ。」
 みんなで、真剣に話し合いをしております。


 「俺はずっと記憶があるから、、朝目覚めてから周りの様子がおかしかったことはわかるよ?」
 「本当か?羚亜、どんな風におかしかったんだ?」
 久しぶりに会えた花子をなでなでしている羚亜は、明かした。

 「うん、何かみんな、眠ってるみたいだった。」






 「で、要さんも眠ってたんだけど、起きたから来たら遅刻しちゃったんだ。」
 「それは、私としたことが寝坊をしてしまい、すまなかった。」
 ちょい落ち込む醐留権先生よ、覚えてないのなら落ち込みようもないのでは?




 「…そうか、」
 漠然とだが、ナナと共通点がある羚亜には暗示がかからなかったことから、薔は答えを導き出した。

 「どこのどいつか知んねぇが、狙ってんのは、俺だ。」











 その直後、

 「よく気づいたね。」

 窓を開け、至極変わった格好をした、見ようによってはそこそこ美形が侵入してきたのである。


 「その通り、おれらの狙いはただ一人、君な」
 「おい、」

 ………………はい?


 ご丁寧にも窓から入ってきた男は、キョトンとして前を向いた。


 「だれが勝手に入っていいと言った?このド偏執狂が。」




 …ぇぇぇぇぇぇえええ!?




 場は震撼したが、

 「挨拶に来んなら、ちゃんとした格好で来い。いったん帰れ。」

 薔は泰然として、言い放ったのでした。




 「あぁあ、君の瞳、すごくそそられるよ…」
 「微塵もそそってねぇよ。帰れ、つったろ?」

 ゾクゾクしている男と、薔は普通に会話をしております。




 (おわぁあ!このひとさすがだけど、狙ってるって、あのヘンな格好したヤツが言ってたよぉ!どうしよう!?)
 ぶるぶると震える、ナナ。

 「ガヴゥ゛…」
 花子の威嚇、再び。




 そして、

 「ちょっと気に入っちゃったから、いいこと教えてあげる。」
 ニコッと笑ったその男は、言ったのでした。

 「あと14時間のあいだに君が命を差し出さないと、この街の人達は悪魔であるこのおれがもらってっちゃうよ?」

 と。




 「あ?」
 薔は凄んだが、ナナを筆頭に場は凍りついた。

 「この街は今切り離された場所にあるから、誰も助けには来ない。タイムリミットを過ぎれば、全員の魂持ってくから。それが嫌だったら、」

 悪魔は、笑った。

 「君が死ぬか、おれを殺して。」












 「あと14時間、じっくり考えながら、愛する者と最後の時間を過ごすのもい」
 「ふざけるんじゃない!」

 笑って話しつづける悪魔に、ナナは怒りの声をぶちまけた。


 「なんでこのひとが死ななきゃならないの!?なんっにも悪いこと、してないじゃん!」
 「ワンワンッ!」
 「そうだそうだ!」

 怒りに叫びつづけるナナに、花子と羚亜も加わった。




 「でもねぇ、依頼人がそう言うもんだからさぁ。」
 「あんたには意志がないのか!?この腑抜けが!」
 「ワンワンッ!」
 「そうだそうだ!」
 「そぉぉよぉ、この腑抜けめぇぇ。」
 「腑抜けという言葉が実にお似合いだな、この腑抜けが。」

 最終的には、こけしちゃんと醐留権も加わりました!


 それにしても、憤慨しまくるナナよ、腑抜けという言葉をよく知っていたね!

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