第68話:Love!(vs Evil).44







 「どうやら、おかしいのはこの辺だけだな、」
 「えぇ!?そうなんですか!?」

 携帯で色々と調べた結果、その考えが導き出された。

 「あぁ。しかもどいつも、おかしいと気づいてねぇ。」
 「それは困りましたね!どうしましょう!?」
 薔は冷静であるが、ナナは途端に慌てふためき出した。


 「おい、落ち着けよ、おまえには俺と花子がいんだろ?」
 「ワン!」
 「わたくしもいちおう、ヴァンパイアでございます!」

 …これは、何とも頼もしい面子が揃ったもんだ。




 「それにしても、誰も来ませんね。帰りますか?」
 「あー、こんなこと滅多に無えかんな。帰る前におまえとなんかしてぇな、」
 「おわぁぁぁああ!?」
 なんかっていったい何ですか!?と、ナナが真っ赤になっていると、


 「あぁぁ、ナナちゃぁん、おはよぉぉうぅ。」


 おっとりした声が響いて、こけしちゃんが登校してきた。






 「こけしちゃ――――――ん!」
 歓喜の声を上げる、ナナ。

 「………………、」
 そのとき薔は教室の入り口を見て、何かに気づいた。



 「良かった、暮中も三咲も、無事だったんだね。」
 「うわぁ!遅刻だと思ったら、誰もいないじゃん!あ!花子さまだ!」
 そして、こけしちゃんとほぼ同時に、醐留権と羚亜も登校してきたのだけど、

 「おい、桜葉と眼鏡、」

 薔はふたりに、問いかけた。

 「何かあったのか?」






 「ははは、何を言っているんだい?」
 醐留権は笑っているが、

 「お前ら、互いが無事なことを何とも思ってねぇんだな。」
 はっきりと放った薔の言葉に、一瞬、動きを止めた。



 「なに言ってるのぉ?薔くぅん、」
 そしてこけしちゃんは、取り繕うみたいに言ったのでした。

 「あたしも醐留権先生ぇもぉ、いつもとおんなじだよぉ?」





 「―――――――――…!?」
 流石のナナさんでも、間違い探しはすぐにできた。
 なんてったって、親友だし。


 「こけしちゃん!?どうしちゃったの!?」
 腑に落ちなかったナナは、心配のあまりこけしちゃんへ尋ねたのだけど、


 ダンッ――――――…!


 なんと、ものすごい速さで掴みかかってきたこけしちゃんに、押し倒されてしまったのだ。



 (ひぇえ…!こけしちゃん、大胆だね!)
 どきまぎする、ナナ。


 「おい、桜葉、ナナを押し倒せんのは俺だけだぞ?」
 ちょい不機嫌になった薔は、こけしちゃんを制止にかかろうとしたのだが、


 ダンッ―――――――…!


 後ろにいた醐留権の手により、壁に背中を押し当てられてしまった。

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