第68話:Love!(vs Evil).44






 「すごいよ花子ちゃ―――――――――ん!」
 大感動の、ナナ。


 「よくやったな、花子。」
 薔が笑いながら、しゃがみますと、
 「ワンッ!」
 花子は大はしゃぎで、ご主人さまに飛びついた。







 「あの子、やるね〜。」
 ずっと、近くの家の屋根から見下ろしていた“悪魔”は、口笛を吹いてからその場を飛び去った。
 その瞬間に、空は晴れた。





 「…見てやがったな、」
 空を見上げ、薔は低い声で呟き、
 「ガヴゥ゛…」
 ヘルメットを被っている花子は、またまた威嚇をしております。


 「花子ちゃーん、すんごく可愛いから写真撮ってもいい?」
 ナナだけがハイテンションで、ようやく使い方を覚えた携帯を手にしていた。










 なんだかんだで、花子を何枚か激写した後、

 「うぎゃあ!もう完全に、遅刻ですね!」
 ナナは、びっくり仰天した。


 「あぁ、それなら心配いらねぇ。」
 立派に言い聞かせた薔は、落ち着き払っておりますので、

 「はい……?」
 ナナはキョトンとしたのだけど、

 「花子も行くぞ。」
 「ワン!」
 なんと、花子も一緒に歩き出しちゃいました!




 …ぇぇぇぇええ!?




 「はっ、花子ちゃんも一緒に行って、大丈夫なんですか!?」
 「当たり前だ。」

 …えええ!?


 ナナにはイマイチ状況が飲み込めていないのだけど、その後は誰ともすれ違うことはなく、三人して仲良く学校へ辿り着いたのでした。















 シ――――――ン…

 登校時刻をとっくに過ぎているのに、学校には人っ子一人おりません。

 「え?誰も来てませんね…」
 キョロキョロする、ナナ。

 「やはりな、」
 薔は堂々としたまんま、

 「行くぞ。」
 「おわっ?」
 ナナを引っ張って、教室へ向かったのでした。
 もちろん、花子も一緒にね。

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