第68話:Love!(vs Evil).44









 あくま【悪魔】
 人の心をまよわし、悪にさそうもの。


 多くの場合、悪魔とは、魔界に住んでいるものとされている。
 しかし、魔界があるとするなら、悪魔とは人間と切り離された存在になってしまうだろう。例え関わりがあったとしても。


 悪魔は、この世界にいる。


 誰もがこころに秘めているし、誰でもこころで打ち消すことができる。



 だからこそ、悪魔とは、必ずしも悪ではないのだ。


 そもそも、この物語においての悪魔は、ものすごく早い段階で主人公が決めちゃってあるからね。
 …おや?
 この補足は、もしや、いらなかったのか?














 意味不明なことを呟きまくっているオトコらは、やはり意味不明な叫びを上げ襲いかかってきた。


 「ひぎゃあ―――――――っ!」
 ナナは雄叫びを上げたが、一所懸命に薔を護衛しようとした。

 が、大絶賛、抱き寄せられ中だった。



 薔はまったくもって動じておらず、ナナを抱き寄せたまんまオトコらを一蹴しようとした。


 まさにそのとき、


 スコ―――――――ン!!


 ものすごい豪速球で、ヘルメットが飛んできたのだ。


 「ぐほっ!」
 ヘルメットが勢いよく当たったオトコは、それとなく頷ける呻きを上げてから、地面に伸びた。





 薔だけが落ち着いているなか、何事かといっせいに視線を送ったさきでは、なんと、


 花子が凛とした姿で、立っていたのです。



 あまりの勇姿に、ナナとオトコらは息を呑む。
 薔はおそらく、花子可愛いな、と思っております。





 花子の足元には、もう一つヘルメットが転がっていて、

 くいんっ

 紐を咥えて持ち上げた花子は、

 カポッ

 ヘルメットを頭に被ると、


 ドドドドドッ…


 猛スピードで突進してきた。




 (花子ちゃ―――――――ん!?)

 是非ともここは“花子さま”にしてあげてほしいところだが、ナナにはそのヘルメットが勇ましい鎧(←レッツ訓読み)すら連想させた。





 ド――――――ン!!

 とりあえず花子はヘルメットを被ったまま、手当たり次第何人かに頭突きを食らわした後、

 「ガヴヴゥ゛――――――…!」

 怒りの牙を剥き出した。




 あんたら、言ってることすらよくわかんないのに、なに私のご主人さま襲おうとしてんの!?いっそ肋骨何本か折るわよ!?

 花子はいたく、ご立腹です。




 その姿はさながら虎(ネコ科だけど)か、はたまたライオン(こっちもネコ科だけど)か、それともドラゴン(これに至っては伝説だけど)か。




 …ひぇぇぇええ!

 もう何人か伸びておりますので、えもいわれぬ恐怖を感じ取ったのか、オトコらは、

 パタッ

 観念しきって、全員伸びた。

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