※※第67話:Make Love!(+Fall).20







 帰宅してからナナはお着替えの前に、リビングのソファにてモンブランを食べておりました。

 傍らの花子は興味深そうに、クンクンしております。



 「おおおっ?花子ちゃんも、食べたいの?」
 あまりにも花子が興味を示しているため、ナナはフォークにすくって、差し出してみた。


 パクッ

 すぐに花子は、口に入れちゃいました。


 「可愛いよーっ!」
 テンション上がる、ナナ。

 “そう言うナナちゃんも可愛いわよ”と、花子は尻尾を振っております。



 そこへ、

 「おい、」

 いささか不機嫌そうな声が、掛けられました。

 「なにやってんだ?」






 はっとして、ナナと花子が顔を上げると、

 「随分と楽しそうだな。」

 着替えに行っていた薔は、ちょっとふてくされているご様子でした。


 ナナと花子は、想った。


 …――このひと(ご主人さま)が、いっちばん可愛かったあ!







 「いやいやいや、お待ちしておりました!こちらへどうぞ!」
 「ワンッ!」
 ふたりの乙女は、萌えております。

 薔はそのまま黙って、ナナの隣に座りました。
 花子はテーブルをぐるっとまわって、ご主人さまに寄り添います。



 「薔も食べますかっ?」
 「ん――――…」
 ナナは明るい声を掛けたが、薔はまだふてくされているのか。


 …ぎゃあ!
 かわいい!

 ふるふるとふるえるナナは、彼をチラ見したい気持ちを抑え込みモンブランを食べ始めた。



 お腹が空いていたこともあり、美味しく彼女が戴いていると、

 「おまえ見てると、飽きねぇな、」

 突然そう言われたので、ビクッとして隣を見たんです。


 すると、

 「何やってても、可愛いんだよな、」

 肘掛けに頬杖を突いてはいたが半ばふんぞり返り、微笑みながら薔はナナを見ておりました。



 …はわわわわわ!?



 「いつから見てらっしゃいましたぁ!?」
 「ずっと見てたが?」
 たちまちナナは真っ赤になり、薔は笑っている。
 ちなみに彼は、花子をなでなでもしておりました。


 「恥ずかしいですってーっ!」
 とか、ナナがわたわたしていると、

 「ナナ、」

 薔は体勢変わらぬまま、やさしく彼女の名を呼びました。


 「はい…?」
 ドキッとして、視線を送ったナナへと、

 「おまえ、ここにクリーム付いてんぞ?」

 自身のくちびるにゆびを当て場所を示し、薔はクスッと笑って言ったんです。


 「えっ?ほんとですか?」
 慌ててナナはくちびるを撫でたりしたのだけど、

 「全然、落ちてねぇぞ?」
 薔はずっと笑いながら、彼女を少し見上げております。



 「えーっ、」
 もはやナナは、必死であるが、
 「落ちたかもしんねぇな、」
 薔の微笑みは実に、イジワルなものであった。



 「あの、ほんとに付いてるんですか?」
 ようやくそう閃いたナナが、彼を見た瞬間、


 ぐいっ


 薔はナナの腕を引っ張って、


 くちゅ…


 くちびるを、舐めたのでした。







 ほぼ上に乗っかっているナナは、真っ赤で唖然。

 「甘ぇな、」
 自身のくちびるも舐めてから、フッと笑って薔は告げた。



 「ほほほんとは付いてなかったんですね!?」
 「さぁな、」

 ソファの上にて繰り広げられるこの光景を、花子は恥ずかしそうに、前脚を上手く使ってチラ見しておったんだとさ。

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