※※第62話:Make Love!(+Cinema).16







 帰路の途中、ふたりはSUTAYA(ただただごめん)に寄ったのです。

 歩きながら、ときどき、ナナが歌をくちずさんでおりまして。
 それが先ほど観たザザえもんのエンディングテーマだと気づいていた薔は、CDを購入しに寄ったのですな。




 大人気アーティストの歌だったため、CDはちゃんと店頭に置いてありました。



 ぽんず

 というアーティストの、歌でした。
 染み入るようないい味を、出しまくっていた。

 ごめんなさいが、重なってしまった。




 とにもかくにも大感動の、ナナさんでした。











 ――――――――――…

 「ワン!」
 帰ってきたご主人さまとその彼女を、お利口にお留守番していた花子がお出迎えです。

 「ただいま、」
 「花子ちゃーん!」
 ふたりしてなでなでしてから、リビングへと向かったのでした。











 「やっぱりこの歌、とってもいい歌ですね、」
 リビングのソファにて、ぽんずの歌を聴きながら、ナナはパンフレットで感動を振り返っていた。

 「ん、」
 隣で薔は、歌詞カードを眺めている。


 花子はリズムに乗るように、尻尾をゆらゆらと振っている。





 一回、聴き終えまして。

 「まだ聴きてーだろ?」
 クスッと笑った薔が、テーブルのリモコンへと手を伸ばした。




 その瞬間、

 ぎゅっ…

 ナナは思わず、彼に抱きついてしまったのです。




 「……ナナ?」
 やさしく名前を呼ぶと、薔は静かに手を戻した。

 「おまえ、酔ってんのか?」
 そしてちょっとイジワルに問いかけながらも、ナナのあたまを撫でている。




 「よ、酔ってるかもしれないです!」
 抱きつきながら、声を振り絞ったナナさんは、


 ドサッ――――――――…


 そのまま、ソファのうえへと、薔を押し倒した。








 「どーした?やけに大胆だな、」
 押し倒されちゃった薔のほうが、大胆不敵に笑っております。

 「だって、もう、わたし…」
 泣きそうになって、ナナは彼にまたがっておる。



 そのとき、

 ツ―――――…

 やっぱりけっこうはだけている自身の胸元に、ゆびを這わせた薔が、とんでもなくセクシーに問いかけたのでした。

 「血がほしいのか?それとも、俺がほしいのか?」








 「…あなたがほしいに、決まってる……」
 ふるえる声でもはっきり告げると、

 チュ―――――――…

 ナナはかがみ込んで、薔にキスを落とした。
 いつの間にか花子は、お部屋へ向かった模様です。



 「ん……………」
 そっと抱きしめて、キスに応える、薔。


 ちゅっ…

 何度かくちびるが触れ合って、やさしいリップ音を立てる。




 「は……………」
 そうっと、くちびるを離すと、


 「キスだけなら、さっきもしたぞ……」

 ふっと囁いて、薔はナナのくちびるをゆびで撫でた。




 「キスだけじゃ、やですよぉ……」
 もどかしくて仕方ないナナは、今にも泣き出しそうである。


 「エロい顔だな…、大胆ついでに、俺を弄んでみるか?」
 妖しく微笑んだ薔は、

 くちゅ…

 ナナのくちのなかへ、ゆびを滑り込ませた。

 「この、かわいいくちびるで……」

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