※※第62話:Make Love!(+Cinema).16







 「すごかったね!血まみれキッチン!」
 「俺、ちょっと鳥肌立ったよ。」
 手を繋ぎ歩いてきた、はしゃぐ愛羅とちょい青ざめている羚亜は、

 「おや?羚亜、」

 すでに映画を観終え、グッズやなんかを眺めていた醐留権&こけしちゃんと鉢合わせした。




 「あれ?要さんも映画観に来てたの?」
 「あぁ。」
 醐留権と羚亜が会話をしている最中、

 (あぁぁ、良かったのぉ。リアルやおいは免れたのぉぉ。)
 こけしちゃんはおっとりと、胸をなで下ろし、

 (きゃあ!先生と生徒とか、アブナくな〜い!?)
 愛羅はなんだか、萌えていた。




 「素敵な子じゃないか。」
 「いつも言ってるじゃん。」
 このやりとりを交わした後、

 「羚亜、」

 にっこり笑った醐留権は、尋ねました。

 「面白かったかい?ザザえもんは、」





 「何言ってんのさ、要さん、」
 ちょい憤慨した羚亜は、返しました。

 「ザザえもんを観に来たのは、薔くんと三咲さんだよ。」

 と。




 「は?」
 醐留権が眼鏡をくいっとさせると、
 「あたしたちが観に来たのは、血まみれキッチンですよお?」
 笑いながら、愛羅が説明しました。


 「血まキチぃ?あたしもアレぇ、気になってたのぉ。」
 「すごくグロかったよっ!」
 途端にはしゃぎだした、こけしちゃんと愛羅。

 「…………………、」
 醐留権と羚亜は、感心しているのか、はたまた呆れているのか。











 パンフレットやグッズやなんかの売り場で、一同がはしゃいでいると、

 「おい、」

 それは堂々とした、声が響いた。

 「なにやってんだ?お前らは、」




 はっとして見ると、やたら真っ赤なナナの手を取り、やや呆れ気味の薔が立っておりました。

 「とりあえず、どけ。」
 そう命じられ、退いた一同は、

 「それがほしいのか?」
 「えっ?いいんですか?」

 ナナへと薔が購入したのは、ザザえもんのパンフレットやなんかであることをしかとその目で確かめた。




 「…なんでずっと見てんだ?どっか行けよ。」
 「いや、すまない、気にしないでくれたまえ、」

 周りはそれとなく、必死に笑いを堪えておった。








 ザザえもんのあれやこれやを、(ナナのために)薔が購入し終えると、

 「ちょうど良かった、」

 何かを思いついたみたいで、醐留権が言いました。

 「この後レストランを予約してあるんだが、せっかく揃ったことだ、みんなで行かないか?」





 「ゾーラ先生ぇ、さすがぁぁ。」
 感心ひとしきりの、こけしちゃん。

 「きゃあ!やったぁ!」
 「良かったね、愛羅さん。」
 羚亜と愛羅も、喜んでいる。



 「4人で行って来いよ、」
 「暮中、遠慮する必要はない。」
 決して遠慮しているわけではない薔に向かって、醐留権は微笑んでいる。


 (あわわぁ!こけしちゃんもいてめちゃくちゃ楽しそうだけど、わたし、このひととふたりっきりが良かったって、ちょっと思っちゃったよぉ!)
 ナナだけが、あたふたしておった。







 結局、みんなしてのランチタイムとなり、醐留権のベンツへと乗り込んだのでした。

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