※※第61話:Make Love(ClimaxU).15






 ぶわっ

 やるせないほどに愛おしさがこみ上げて、気づくと傷はキレイに消えていた。


 「頼む……」
 そのまま薔は、つづけます。

 「おまえも…言ってくれ……」




 ぎゅっ

 ナナは少しからだを起こし、やさしく強く、薔を抱きしめた。

 ぎゅ

 しがみつくように、薔も抱き返す。



 「好きです………」
 「もっと……」

 互いにふるえる声で、ぬくもりを感じ合う。


 「大好きです……」
 「もっと…」

 抑えることができず、とうとうナナの瞳からは涙がひとすじ流れていった。

 それでも、はっきりと、言葉にしたのでした。


 「愛してます……薔…………」













 ちゅ…

 薔はナナの手を取り、ゆびを舐め始めた。

 「あの…、くすぐったい…です……」
 火照りゆくナナは、ゆびさきにまで熱を伝わせてゆく。


 「なぁ、」
 薔はゆびに、くちびるを触れさせたまま、

 「会えねぇ間、おまえはこのゆびで何に触れた?」

 切なげな瞳で、言葉を投げかけた。


 「え―――――――…?」
 ナナはドキッとしてしまい、

 ツ――――――…

 次に、薔はゆびさきで彼女の耳を撫でながら、

 「この耳で、おまえは何を聞いた?」

 甘く掠れた声を、振り絞った。




 「わかんないです…、わたし、会えない間も、薔のことで、何もかもがいっぱいでした……」
 また泣きそうになりながら、ナナが応えると、

 「そうか…」

 薔はただ、微笑んだ。

 「会えねぇ間も、おまえの全部に俺は触れてたんだな……」




 締め付けられる胸が、そのまま張り裂けてしまいそうで。

 「俺も、いつだって、おまえのことばっか考えて…、会いたくてどうかしそうだった……」
 薔もとてつもなく苦しそうで、潤んだ瞳を真っ直ぐナナへと向けていた。




 そして、

 「どこにいても、ここにいるから、その分、辛れぇよな…」

 いつの間にかナナの瞳から溢れ出していた涙を、やさしく拭いながら、

 「だから、とことん、そばにいような。」

 薔は、微笑んだ。







 「堕ちるか?このまま……」
 「はい………」

 ようやくふたりは、寝室へと及んじゃったご様子です!

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