※第57話:Love(+Sweet!).41






 朝です!


 ピンポーン

 朝っぱらから、薔とナナと花子のマンションには、来客があった。



 「ん――――――…」
 朝方までなんやかんやしていたこともあり、まだ眠そうな薔は、またしても上半身ハダカのまま玄関へと向かった。











 ガチャ――――――…

 薔が玄関のドアを開けると、

 「よぉ、薔。昨日会ったばっかだが、突然悪りぃな。」

 なんと、そこには、スーツ姿の夕月が立っていたのだ。



 「んん………」
 ところが薔は、寝ぼけているのか、ぼーっとしたまま目を擦り、

 「あぁ…、夢か………」


 バタン―――――――…


 ドアを、閉めてしまった。











 寝室に戻ってきた薔は、もぞもぞとベッドに入って再び眠りに就いた。

 「あれ?どなたもいらしてなかったんですか?」
 目を覚ましていたナナが、そう尋ねると、
 「ん――――…夕月さんが…、いた………」
 眠る直前、そう呟いて。



 ………えええええええ!?



 「ゆ、夕月さんがいらしたのに、戻ってきてしまって良かったんですか?寝ぼけてらっしゃるんですか?」
 ガクガクと震えながらも、ナナは急いで玄関へと向かった。










 ガチャ―――――――…

 ナナが玄関のドアを開けると、

 「おぉ、ナナちゃんが来てくれたか。」

 やはり、夕月はそこにいた。



 「本物の夕月さんで、いらっしゃいますけど――――――――――っ!」
 「はっはっは!」


 ご安心あれ。
 このマンションの防音設備は、かなり整っている。










 ナナに案内され、夕月が中へ入ると、いつの間にか玄関では、花子が恭しくおすわりをしていた。

 「おおお…っ!花子ちゃん…!」
 ナナはびっくりしたが、

 ジィッ

 と花子は、夕月を見上げている。



 夕月は、花子のあたまを撫で、笑いながら言った。

 「かわいいもんだなぁ。はじめまして、花子ちゃん。」

 と。



 (え――――――――…?)
 ナナのこころには、ある疑問が浮かんだ。



 夕月さん、花子ちゃんとは“はじめまして”、なの?

 それなのに、まるですべて見てきたかのように、話したのは、


 なぜですか―――――――…?










 花子は夕月になでなでされて、とても嬉しそうに尻尾を振っていた。

[ 106/543 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る