※※第56話:Make Love(+Dramatic).12








 穢れも悲しみもない愛こそが、汚れ、哀しいのか。

 穢れ悲しく、やるせないほど、愛し、そばにいたいと願うのか。













 明るくなってゆく空の中、翼を付けた大きな機体がゆったりと進んでいる。

 太陽に近づくのではない、太陽はいずれにせよ近づいてくる。






 「驚いたなぁ。まさかあの梨果子(りかこ)がいきなり、結婚だなんてなぁ、」
 ファーストクラスの席にもたれ、やたらとダンディなその紳士はくっくっと笑った。

 搭乗客は、比較的少ないほうかもしれない。




 「しかも相手は、春希(はるき)じゃねえときたもんだ、」

 優雅なたたずまいのその男性は、けっこうお久しぶりの登場かもしれないが、この物語においては神様的存在こと、夕月 鎧である。


 夕月は、朝一番の飛行機で、フランスから日本へと向かっていた。





 「愛の扱い、つうのは、時として非道でぇモンだよなぁ。だが、お前ら、万事休すには早過ぎるだろ。」
 穏やかな声で、激しい感情をあらわにする夕月。




 「何もしねえまんま、模範的なレールつうモンは嫌でも敷かれてく、」
 笑いながら、口にした夕月は、

 「まぁ、梨果子の話はじっくり聞いてやるとして、俺は帰ったらまず、家族でのんびり飯にでも行きてえなぁ。」

 そう、呟いたのだった。

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