愛するしか出来ない。







 入院の必要も特になく、咲は自宅休養ということになった。

 ほとんど真夜中だったが、柏葉が迎えに来たためふたりは病院を後にした。







 ――――――――…

 「僕は目を通さなきゃいけない書類があるから、咲は先にお風呂に入って?」
 部屋でやさしく漣が言い聞かせると、
 「ん…………」
 自分のシャツを握りしめ、切なげに頷いた咲は素直にバスルームへと向かっていった。


 「あれ…?」
 いつもと雰囲気が違うため、漣はドキッともしたが机に向かったのでした。







 やがて風呂から上がった咲へと、

 「僕も入ってくるから、咲は先に休んでてね。」

 微笑みかけ、漣もバスルームへ行こうとした。



 「あ…………」
 ベッドのうえに座る、咲はなにかを言いたげであるが、

 「うん……」

 やはり先ほどとおんなじ雰囲気で、コクリと頷いたのでした。










 (どうしたんだろう?やっぱり具合悪いのかな?)
 湯船につかり、そう考えだすと漣はいてもたってもいられなくなってしまい、

 「こうしゃいられないよ!」

 あまり温まることなく、お風呂を上がったのでした。











 そうっと部屋を覗き込むと、咲は静かに眠っているようだった。

 足音も立てず、ベッドへと漣は近づいてゆく。



 呼吸も穏やかで、本当に眠っているのだと思えた漣は、ホッと胸を撫で下ろす。

 「良かった…、眠ってるよ……」

 小さく、呟いた瞬間だった。



 ぎゅっ

 伸ばされた咲の手が、漣のシャツを掴み、

 「漣………」

 今までになく甘えた声は、心臓すら鷲掴みにした。

 「えっちしたい………」







 「どっ、どうしたの!?」
 かなりどぎまぎする、漣。
 いつもはセックスと言う咲が、いきなりえっちとか言うのもかなりツボなわけで。
 「漣とえっちしたいの……」
 潤んだ瞳で見上げ、咲はつづけます。


 「ダメだよ!しっかり、休んでないと、」
 「漣とえっちしたほうが、元気になる……」
 激情を抑え込み、必死になる漣だったが、

 「ねぇ、漣…」

 甘えたその声や仕草は、蓋をこじ開けたみたいだ。

 「えっちしよ……?」






 チュ――――――…

 「ん……………」

 漣が覗き込むようにしてキスを落としたので、ふたりのくちびるは重なっていた。


 「ん…っ、んぅ……っん、」
 舌を伸ばし、絡めてくる咲は甘ったるい声を漏らしている。




 「そんなに可愛く、しないでよぉ…、僕、ガマンしてたのにぃ、」
 もはや漣は、泣きそうになっているが、

 「漣…、好き……大好き………」

 ちゅっ、ちゅ…、

 咲は何度も、くちびるを当ててくる。





 「きて………はやく…………」

 ギシッ

 誘われ、キスはベッドのうえへと甘美に漂っていった。













 ジュプッ…

 「ふぅ………っん、」

 枕にあたまをもたせ、あしを開かれた全裸の咲は、両手で口元を覆っている。

 「どうしたの?声、ガマンしてるの?」
 咥えていたソレから口を離し、同じく一糸纏わぬ漣が問いかけると、

 「だって……、声、聞かれちゃう……」

 熱い息を吐きながら、一瞬手を離し、咲は告げた。



 「大丈夫だよ、今は真夜中だし。」
 笑って言い聞かせ、再び漣は顔をうずめる。


 「……っ、ん…っ、」
 それでもしばらくの間は、声を両手で抑えていたが、

 「あ……っ、」

 とうとう、堪えきれなくなった咲は枕を掴んで声を上げた。

 「あぁん…っ、ダメぇ…っ、」




 ジュクッ…ジュプッ…

 「やっ、ぁ…っ、ソコ、舐めちゃ…、あっ…っ、」
 ビクビクッとつまさきまでふるえ、咲の髪は枕のうえ泳ぐように乱れきっている。

 「ん………」
 漣はうっとりと、くちを動かし、

 「ダメっ、でちゃう…っ、」

 ぎゅっ

 きつく枕を掴むと、

 「あぁぁ…っん!」

 咲は熱く、漣の口内へと放った。




 「ぁ…っ、あ……っ、」
 ふるえる咲のうえ、

 ゴクン――――…

 漣はソレを、丁寧に嚥下した。

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