愛するしか出来ない。
ちゅっ
「ん…………」
抜くまえに、顔を近づけあってキスを交わす。
「ん…っ、ん、ん………」
くちゅくちゅと夢中で舌を絡めていると、否応なしにからだは動いており、
グチュ…
「ふ……あっ、」
なかでまた擦れて、咲は堪えきれない声を漏らした。
「ごめっ、動いちゃっ…たっ、」
漣も思わず、ビクッとしてしまい、
「いい…、もう一回、する……」
うっとりと呟き、咲はまたしても動き始めた。
「はぁっ、はぁっ…、漣…、おまえと…ずっと、こうしていたい………」
淫音のなか、囁く咲と、
「僕もそうしてたいけど…、咲のなか…っ、すごいよぉ…っ、」
汗で濡れながら、激しく息をする、漣。
「まったく、漣さまは、驚くべき速さでお仕事をなさったと思いましたら、お部屋に籠もったきり何をなさってるのでしょうか?」
眼鏡をくいくいさせながらきびきびと歩いてきた柏葉は、ノックをしようと漣の部屋のドアへと拳を当てた。
しかしノックをするまえに、
「あん……っ、」
高い声が、漏れて聞こえてきたのだ。
ぴた
柏葉の手は、瞬時に止まった。
「ゃ…っ、あっ、漣っ、深い…っ、あっ…ん、ダメぇ……っ、」
声の高さからか、ドアのまえに立っているとけっこうはっきりと聞こえてくる。
くるりっ
きびすを返した柏葉は、無言で音も立てず歩きだした。
「…まだ夕方ですことよ!?」
しばらく歩いて、口を開いた柏葉の頬は、赤い。
「あぁぁ…、なんとまあ、お破廉恥な…」
立ち止まり、頬に両手を当てた柏葉だったが、
「…………………、」
しばしの沈黙の後、
「咲さまは、あのような可愛らしいお声も、出されるのですね……、しかしわたくしはてっきり、そちらは漣さまかと……」
と、呟いた。
ズ――――ン…
「わっ、わたくしったら、何を申しておるのでしょうっ!?」
そのまま柏葉はブンブンと頭を横に振って、
(へ…、平常心、平常心ですことよ?)
自分に言い聞かせながら、再び歩き出した。
その日、いつにもなく明るく笑ったりしている柏葉に、周りが心底怯えていたことは言うまでもない。
「あぁ…っ!イく…っ、」
「あ…っ!」
咲と漣は深く交わり、何度か堕ちていった。
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