闇より深い、愛で。







 外の世界では、恐るべき速さで、着々と準備が進められていた。



 支配人は、お得意様相手に、上機嫌で話し込んでいる。


 その瞬間、

 バン――――――――…!

 入り口のドアが開いて、何人もの男が突入してきたのだ。


 支配人は呆気にとられていたが、目の前の男に食ってかかろうとした。

 「あんたら何者だ?出てけ。」




 すると男らのうち、一番キリッとした男性が、令状を翳し堂々と言った。

 「我々は警察だ。風営法違反及び児童福祉法違反で、この店の経営者には逮捕状が出された。」



 支配人は、青ざめた。






 そして、ふとその隣を、漣が走り抜けていった。


 「あああっ!アイツか!」
 支配人は怒りに我を忘れかけたが、

 「口を慎みなさい。あのおかたを、どなたかご存知ないのか?」

 キリッとした男性は、明らかにした。


 「漣さまは、この国の王太子であらせられるぞ?」






 どうやらこの物語は、日本が舞台ではなかったようだ。
















 「あ〜あ、ったく、何度も気絶すんじゃねェよ。」
 と、一人の男が咲の頬を叩いて、
 「また、挿れてやりゃあ目ェ覚ますだろ。」
 そう言ったまた一人が、咲のあしを掴んだ瞬間だった。



 バン―――――…!

 部屋にひとりの男性が、乗り込んできたのだ。


 「は…っ、はっ」
 もちろん、息をきらしそこに立っていたのは、漣であった。



 「なんだ?アイツ、」
 ほとんどが怪訝そうだったが、何人かは漣を見て目を見開いた。



 「うわあぁぁぁぁーっ!!」
 男達を振り切り、猛突進してきた漣は、ベッドを見ると端正な顔をひどく歪ませた。


 「咲ーっ!!」




 咲は乱れたベッドのうえ、汗と精液まみれになりぐったりしている。




 「咲を離して!どいてっ!」
 漣は必死になってもがいたが、何人かの男に取り押さえられた。

 「こいつも犯っちまおうか?」
 ニヤリとした男に向かって、
 「そそそれだけは、まずいよ!」
 先ほど目を見開いたうちの一人が、制止にかかる。



 そんななか、

 バ―――――――ン…!

 銃声は轟いた。

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