教えて、愛を。







 午後も繰り返されてゆくは、ただ、男との、愛のないセックス。


 「あ…っ………ああぁ………………」
 開かれた細いあしは激しく持ち上げられ、そのあいだに、幾度となく精液を注ぎ込まれる。


 「は…っ…………あ………あぁ…ぁ……………」
 つまさきまでもビクビクとふるわす咲は、シーツをきつく掴んで淫れきって喘いだ。



 「なんか、女とエッチしてるみたい。」
 覆い被さるようにして男は、荒々しく突きたてつづける。

 「あんっ………あん…………あ…っ………ぁっ……ああん………………」
 軋むベッドのうえは波打ち濡れて、痩せた咲のからだを、浮かべる海のごとく。


 「すっげ、エロいからだ。」
 男は汗を流し、興奮しきって過激に攻めたてる。


 「ああぁん………っ…………」
 艶やかなくちびるはいやらしく開かれ、喘ぎと吐息を漏らして。


 「ん…っ…………あ……あぁ…っん………………」
 夢中で突き上げる男のした、咲は細くしなやかなゆびさきで、自身の乳首を弄ったのだった。









 「…煙草、吸いてぇ。」

 イキまくった咲は、ベッドのうえで呟く。

 汗は、裸体をわずかに煌めかせ。


 「はぁ……っ……………」
 顔をあげて深く息をあげた咲は、何度目かのシャワーを浴びた。











 客人が、途切れた訳ではない。
 構わずに、咲は、ふらりと街へ出た。

 季節は冬の終わりを告げる頃で、吹く風は肌寒かったが、彼は薄着だった。





 「すごっ!あの男のひと、背ぇ高いのに、細っ!てか、キレイ!」
 「薄着だね、なんか、エロっ。」
 こんな声もしておりますが、咲にはまったく聞こえておりません。



 「雰囲気、女性みたい。」








 ―――――…

 ふっと、雑音が途切れて。


 煙草を手にし、ぼんやりとした咲の目に鮮やかに飛び込んできたのは、




 ファサ――――…


 大量の薔薇の、花束だった。

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