Affair.6『堂々姦淫?』
そのうちに、藤堂はずっと腑に落ちずにいたことを投げ掛けた。
「そもそも、奏多は奈美ちゃん先生と付き合ってるんだよな?つうことは日向さんはセフレなのか?」
快楽に蕩けていた夏はこの言葉により、一気に現実へと引き戻された。
そうだった、奏多は夏が保健室でお世話になっていた間、寝ている生徒がいるにも拘わらず奈美ちゃん先生に手を出していた。
あれにより、初恋は打ち砕かれたはずだった。
なぜ今まで、忘れることができていたのだろうか。
奏多の証言によれば、奈美ちゃん先生は「ドM」ということで、ドMと勘違いしているだけのこのサディストとの相性は抜群ではないか。
「今は奈美ちゃん先生の話は関係ねぇだろ」
表情に出して動じることもなく、奏多は夏の腰を掴み寄せようとした。
ぷはっ……と藤堂のモノから素早く口を離した夏は、ありったけの力で奏多のモノを中から引き抜かせた。
「いい加減にしろっ!このバカ!アホ!」
その直後、じつは女王様の秘めたる体力は凄まじいのではないかと思われるくらいの勢いで、ビンタが飛んでいった。
左頬がたちまち赤くなるほどの剣幕で叩かれた奏多は、「俺先輩だよ?」のお決まりの返しが出て来ない。
「あたしは藤堂先輩と付き合ってるんだから、邪魔しないでよ!」
夏は藤堂のシャツを掴み、初恋の相手に怒りの想いをぶつけていた。
「日向さん……」
藤堂は感動している、一見したところ至極もっともな光景ともなっている。
夏にとっての彼氏は藤堂で、蕪木もそれを望んだはずだ。
「藤堂先輩、こいつん家の玄関まで辿り着けます?」
「ああ、うん、余裕で……」
「なら今すぐ帰りましょう!身支度して!」
「わ、わかったよ、日向さん……」
玄関まで辿り着けるのならこっちのものだと思った夏は、藤堂を急かし乱れていた衣服を整えると部屋を後にすることにした。
鞄はふたりぶんを、きちんと藤堂が持ってくれた、さすがは彼氏である、下僕とは違う。
奏多はひっ叩かれた頬を押さえたまま、ふたりが身支度をしている間終始黙っていた。
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