魅惑と誘惑の蜜
「実穂子サーン、どうしましタカ〜?」
保健室の窓の外より、ハリーは心配そうな声を掛けた。
「ハリーさん、怒らずに聞いてくださる?」
「Yes!」
ある意味さながらロミオとジュリエットなんだけど、少し憂いを含む葛篭先生は思いきって、
「じつは、日曜日、お買い物に付き合っていただきたいんです…、ハリーさんには荷物持ちを、させてしまうと思うんですけど…」
と、告げてみたのだ。
「OH〜!任せてくだサーイ!荷物でも何でも、持ちマスヨ〜!むしろ実穂子サンを、持ちマスヨ〜!」
ドンと胸を叩いたハリーは、喜び勇んで若干変態っぽく返す。
「いいんですか?」
「HAHAHA〜!もちろんデース!」
すんなり快諾されたので、目をぱちくりさせた葛篭は、
「嬉しい、」
ちゅっ
身を乗り出し、彼にそっとキスをした。
「ハリーさんて、すごく思いやりがありますよね。私、ここまできてハリーさんに出逢えて本当に良かったです。」
カ、神…ヨ…
ぷしゅうっ…
「ハリーさん!?」
否応なしにハリー、ノックダウン!
「実穂子サン…、不意打ち、やわらカ…」
「…………プッ、」
真っ赤でぶっ倒れてしまったハリーを見ながら、とうとう葛篭は大笑いし始めた。
「あはははは!」
「A、AHAHA〜…」
夢見心地のハリーも、つられて笑う。
「ハリーさん、ここ保健室ですよ?」
「OH〜…、ワタクシの手当てを、お願いしマース…」
「あはははははは!」
…――――いくら保健室でも、恋愛の病はどうにもできないが、
鼻おじさんのだったらこの保健室で、
どうにかなるだろう!
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