魅惑と誘惑の蜜
(桜葉の意見を、伺おうか…)
1-5の教室へと向かいながら、醐留権はムンムンとしておりました。
(いやしかし、いきなり聞いて引かれては困るな…)
…………そんなに思い詰めて、いったいゾーラ先生は何を彼女に聞きたいんだい?
(ここは、やむを得ない。)
ガラッ――――…
辿り着いた教室で、思いきってギャラリーを振り切りドアを開けると、
「暮中、ちょっといいかい?」
醐留権はなぜか、薔を呼び止めた。
「…よくねぇな。」
ナナにちょっかいを出していた薔が、そら険しい雰囲気で返す。
「そう言わずに、付き合ってくれ。相談があるのだよ、」
「ぜってーに嫌だ。」
「少しくらいいいじゃないか!」
とまあこんな風に、ふたりの美形男子が揉めてるわけなんですが、
(こっ、こけしちゃん!?こけしちゃんがっ…!)
ナナは親友のことが、めっちゃ気になっていた。
……付き合ってくれ…付き合ってくれ…(※エンドレスリピート)
(あぁぁぁ、とうとうぅぅぅ…)
相談があるのだよ、の部分をいっさい聞いていなかったこけしちゃんは、楽園まであともう少し。
「こうなったら三咲に頼もう!少しだけ暮中を貸してくれ!」
「それより醐留権先生、こけしちゃんが…」
「なに!?」
…ついに、楽園が見えちゃったようです。
「さ、桜葉、大丈夫かい!?」
「あぁぁぁ、ゾーラ先生ぇぇ…、あたしにはぁぁ、お構いなくぅぅ…」
「できるわけないだろう!」
と言いますことで、醐留権は責任持って彼女を、保健室へと運んでいったのでした。
「………………。」
周りは、ポカーン。
「よくやったな、おまえ、」
「えっ?エヘヘ、そんなっ、」
ナナと薔は構わず、イチャつき始めた。
「桜葉、しっかりするんだ!」
「こればっかりはぁぁ、ムリぃぃぃ…」
「桜葉!?」
うっとりぐったりのこけしちゃんを、保健室へと運ぶ途中、
(これは、様子を見たほうがいいな…)
醐留権は真剣な表情で、こころにてそれを呟いたのだった。
(こんな状態の桜葉に、大人の玩具はまだ使えないだろう…)
…――――それいっそ、本人にちゃんと聞こうよ!
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