淫らな悪戯を召し上がれ







 『あ…っ!?』
 魂のナナは目の前で、自分の躰の耳へと彼がくちづけたのを見ていた。
 エッチな音は目の前ではなく、耳もとで響いたように思えてならない。


 「感じてんのか?」
 本体の肌へとくちびるを滑らせて、薔は彼女のくちびるを奪う。
 魂の彼女へと、それを見せつけてくる。


 『あ…っ、あの…っ、』
 自分と彼がキスをしているのを、目の前で眺めているのは何とも不思議な気分で気持ちがよくてじれったかった。
 魂のほうのナナは、さっそく制服のスカートを掴んでもじもじし始める。

 「ん?」
 彼女の見ている前で、薔は彼女の顎をそっと持ち上てから下へと引かせてキスをディープに変えた。

 …ッ…くちゅっ――…







 『あ……あっ、あ…っ、』
 目の前で、自分が彼とディープキスをしている様に、魂のナナは興奮して濡れた。
 例え魂になっていようとも、濡れてゆくのはひしと感じられている。
 同時に、濃厚で危険なくちづけの感触も。


 ちゅっ…じゅぷっ…

 眠っているような彼女の舌を吸って、引っ張って、薔はまたゆっくりと絡めてゆく。
 自力で舌を動かしているわけではないというのに、ナナの舌は生き生きと、また艶かしく動いて彼の舌と絡みあっていた。

 下唇をやさしく吸われ、見ているナナはぞくぞくと欲情してしまう。
 躰が火照り、痺れてゆく。



 「ちゃんと熱くなってきた…」
 瞳を閉じたままの彼女の髪をしなやかに撫で、頬へゆびを滑らせて、魂のほうへ悪戯っぽく視線を送りながら薔は制服のリボンを解いた。

 「伝わってんだな?」
 ふわりと解かれたリボンが、ブラウスの上で端を揺らす。





 『ん…っあ、あ…っ、』
 魂のナナは、自分のくちびるに触れてみる。
 自分で自分に触れることはできたが、一番に触れてほしい彼に触れてもらうことはできない。
 今現在目の前で、あんなにもいやらしく触れてもらえているというのに。


 「なぁ、あんまエロい顔で、」
 薔は彼女のブラウスのボタンを外し始める。
 本体のほうだって頬を火照らせているようだったが、魂のほうはもう蕩けてしまいそうなくらい彼がほしくなっていた。

 「俺を煽んなよ…」
 ブラウスがはだけ、目の前で自分の下着や胸の谷間や艶いた肌が覗いてゆく。
 視線は釘付けとなり、ナナはソコをキュンキュンと疼かせていた。

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