淫らな悪戯を召し上がれ







 「………………、」
 くちびるを触れあわせることなく離していった薔は確かに、ナナの魂のほうを見ながら問いかけた。

 「おまえ、何でそっちにもいんだ?」








 『気づいてくださいましたか――――――っ!さすがは薔ですーっ!』
 感動のあまりナナは飛び跳ねたのだが、だんだんと浮いてしまうため途中で止めてまたもがくように彼の近くへと戻った。

 (ショックのあまりついに独り言が……)
 こけしちゃんの場合はそれ相応に変換していただきたく、こっそり見守る一同には薔が突然独り言を始めたようにしか見えていない。




 「俺は今まで気づかずにいた自分を殴り殺してぇぞ?」
 『何てことをおっしゃるんですか!?やめてくださいよ!』
 「ならおまえ早くこっちに戻れよ、」
 『戻り方がよくわからないです!』
 ナナの魂のほうを見つめながら、もがく姿も可愛いなとか思っている薔は自分を責め始めた。
 いつもは責めまくるほうなのに。




 「薔くぅん、早まっちゃダメぇぇっ!」
 「そうだぞ!?暮中、自分を撲殺すれば三咲に会えるとでも思っているのか!?」
 「気を確かに!」×2
 「三咲さんはきっとすぐに目を覚ますわよ!」
 「……あ?」
 こっそり見守っていた一同には、薔は独りでいきなり自分を殴り殺したいという願望を告げたようにしか見えなかったために、こっそりもできなくなり必死で説得に飛び出して行った。

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