淫らな悪戯を召し上がれ
いきなり雄叫びを上げぶっ倒れたナナの様子に、クラス中がびくびくっ(こけしちゃんはびくびくぅぅっ)となった。
ナナはぶっ倒れる寸前に、ノートをこけしちゃんの机の上へとちゃっかり置いていた。
「ナナちゃぁん?大丈夫ぅぅ?」
こけしちゃんは心配そうに親友を揺り起こすものの、
しーん……
ナナは瞳を閉じたままぴくりとも動かない。
「あぁぁ、これはぁぁ、王子様のチューが必要なやつなのかなぁぁ?」
おっとりにおいての大慌てで、今の状況を何となく白雪姫に見立てたこけしちゃんはナナの介抱を止めた。
このまま介抱を続けていれば、自分の身にとんでもない危険が及びそうな予感がしたからだ。
こけしちゃんがナナを揺り起こすのを、とっさの判断により止めたところへ、
「おい、」
たいそう不機嫌そうに王子が登場した。
「今思いっきりナナの悲鳴が聞こえたぞ?」
「あぁぁ、噂をすればぁ、王子登場ぅぅっ。」
「あ?」
こけしちゃんはにっこにこ、薔はすぐさま彼女を抱き起こす。
すでに予鈴は鳴っており、隊員たちはこの状況下での隊長の適切な判断と落ち着きように攻められてもいい衝動に駆られている。
「ナナ?大丈夫か?」
薔はやさしく、彼女へと声を掛けたのだけど、
「……こいつ、息してねえ。」
驚愕の呟きを漏らしたのである。
……ぇぇぇぇぇぇぇええええ!?
教室中が震撼した(こけしちゃんの場合のみそれ相応に変換を)。
「あのぉぉ、ナナちゃぁんはぁぁ、薔くぅんにクリームを塗りたくりたいってぇ、妄想をしていたらいきなり倒れちゃってぇぇっ……」
おろおろし始めたこけしちゃんは、簡単に事のいきさつを説明したのだけど肝心の自分のノートについては触れずにおいた。
「ったく、何やってんだよ…」
内心ではかなりなんてものじゃなく焦りながら、薔は彼女をお姫様だっこして保健室へと連れて行った。
(保健室のベッドでチューかな?)
ドキドキしている皆さんよ、こちら立派に一大事でございます。
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