反故にできない遠い約束









 夫の実家に夫婦で帰省する機会があった。
 多くの親戚が集まるから、奏も来ると最初から聞いていた。
 なぜなら夫の実家は、奏の実家でもあるからだ。

 今では義両親となった二人には昔からよく面倒を見てもらっていた。
 義両親にとって私は、自分たちの長男の嫁であり、次男の幼馴染みだった。
 実際には、次男の奏はただの幼馴染みではなく、無理矢理犯されたことを始めとしてから頻繁に肉体関係を結んでいる。

 今では、ひたすら快楽を貪り合うとても歪な関係だった。


 私は奏に会うことには躊躇いはまだあったものの、不思議なくらいに嫌な気分はもう抱いていなかった。

 奏はいつも私を、激しく愛してくれる。
 そのことを嫌だと思えない自分に罪悪感を抱きながらも、私は奏に会えると思うと反射的に体が熱くなった。



 ただ、親戚も集う場では、何もされないだろうとは思っていた。
 そう考えると、がっかりしてしまう自分がいた。
 本音を言えるものなら、私は誰にも知られないようにこっそり奏と会って、すっかりくせになってしまった快楽を与えて欲しいのだった。








 ちゅっ……っ……くちゅっ……

「ん……っ、ふ……っ、ん……」
 私は奏とキスを交わしていた。

 義実家の居間には親戚が集っているのに、奏の部屋で、誰も来ないタイミングを見計らって抱きしめられていた。
 幼い頃は一緒に遊んだ懐かしい部屋で、私は奏と男女の関係に溺れようとしていた。

「……っん、奏……っ、ん……っ、ダメ……っ」
 小さな声で訴えるものの、キスに感じていやらしい気分が高まっている。
 本当は望んでいたことなのだから、無理もなかった。

「声は出すなよ、愛……気付かれたらまずいだろ?」
 面白そうに笑う奏は、抱いた腰を両手でゆっくりと撫でる。
 それをされると私の背筋は甘く痺れてゾクゾクしてしまう。

「まあ、俺は別にバレても構わないけどね、むしろ好都合だ。やっぱり愛は俺と結ばれる運命なんだよ」
 くちびるをそっと触れ合わせた奏は、いつも私を手に入れることを考えている。
 奏は私を愛しているからこそ、全部を壊そうとしている。


 私と幼馴染みであるという関係も壊して、必ず特別な関係を結びたがった。
 その狂気にやられた私はすでに、奏を男として見ていた。
 私をこの世で最も狂おしく愛してくれる男性だと、思うようになってしまった。



「止めてよ……っ、奏……っ、お願い……っ」
 微かに訴える私の声は、本当は嫌がっていないことが見透かされてしまうほど甘やかだった。
 誰かに見つかったらどうしようという緊迫感を抱いてはいるものの、奏に触れられることで体は悦んでいた。

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