愛玩性教師











「先生、どうしたの?」
 突然掛けられた優しい声。
 心臓が跳ねて我に返った私は、急いで顔を上げる。
 机上へと視線を落としながら何を考えていたのか、まったく覚えていない。

「熱あるんじゃね?大丈夫?」
 彼は心配そうにしているふうを装い、私の額へと片手を当ててくる。
 そうすれば、私がもっと追い詰められることを、彼はよく知っているからだ。

 ヴヴヴッ――――…

 私は中に捩じ込まれている玩具の存在を、より強く感じてしまいビクリと躰をふるわせた。

「……っ」

 その姿に楽しげに笑った彼は、口の動きだけで私に命じてきた。

「気づかれちゃダメだよ?」











「先輩ったらまた先生にちょっかい出してる〜!」
「いいな〜!」
「あれ?もしかして同じことしてほしい?」
 私から手を離した彼は、保健室に入り浸っていた二年の女子生徒をからかい始める。
 私はほっと胸を撫で下ろそうにも、玩具を仕込まれているためそうもいかない。

「二人とも熱あんじゃね?」
「え〜!?ほんとに!?」
 女子生徒の額にも、彼は私にしたときと同様の優しさで、触れる。
 見せつけているつもりだろうか、私は嫉妬など感じないというのに。

 私と彼の関係は、ただの保健医と生徒――というのとも少しちがって、主人とペットのようなものになってしまっている。
 今、中に玩具を入れながら仕事をさせられているのは、彼曰く“お仕置き”なのだそうだ。





 こんなふうに生徒に弄ばれても、私は仕方のない教師なのかもしれない。
 事の発端は、二ヶ月ほど前のこと。

 私は、入学式のときから私に好意を寄せてくれていたという一年の男子生徒に告白をされ、関係を持ってしまった。
 その子は大胆な告白をしてきたわりには、最中はとても優しく私を抱いてくれた。
 この保健室で忍んで会うたびに、セックスをした。


 しかし、回を重ねるごとに環境作りが怠慢となり、ある日保健室の施錠をせずに躰を重ねてしまった。
 そこをまんまと、とある三年の男子生徒に目撃され、私たちは呆気なく破局を余儀なくされた。


 その、私たちの情事を目撃してしまった三年の男子生徒というのが、とんでもない曲者だったのだ。
 一言で言えば、チャラい、彼女をとっかえひっかえしているような節操なしだ。
 けれど悔しいことに見た目は申し分なく、騙されてしまう女子生徒は後をたたない。

 脅される私はあれから、毎日のようにそんな彼のオモチャにされている。
 彼は私を優しく抱くようなことは一度もせず、どれだけ嫌がろうとも最終的には無理矢理中に出されてしまう。

 弱みを握られている私は、結局言うなりになるしかできずに堪え続ける日々。
 彼が他の女の子に目移りして、飽きられる日を辛抱強く待っているのである。

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