おいでよ天使
「少しは反省した?」
俺はベッドへと歩み寄り、泣き善がる彼女の目の前で優しく微笑んだ。
玩具で感じる彼女は必死になって頷く、その仕草も表情も、何もかもが可愛すぎて俺の中には再び憎悪が沸いてきた、それは、もしかしたら彼女のこんな一面も垣間見たかもしれないあの男への憎悪だ。
やはり、彼女は俺の中にすっぽりと閉じ籠めて、守ってあげるしかないと固く決心をさせられる。
「反省できたなら、いい子だね……俺はじつはお前にはそんなに怒ってねぇから、安心して……」
縄で固定されたバイブをさらに強く押し込めてベッドへ乗ると、俺は彼女の美しい肌へとキスをしていった。
手首に滲んだ血を見やると、他の場所も同様に仄かに赤く染めてやりたくなる。
大怪我にはならないよう手加減しつつ耳を噛むと、じんわりと血が滲み出てきた。
綺麗な色だった、彼女の体内を流れる血液も、俺をおかしくさせるにはじゅうぶんすぎた。
「痛…っ!や…っ、やめて…っ、やだ…っ、やだ…よっ、っあ…やだああっ!」
彼女はより一層力任せに鎖を引っ張る。
嫌だと言うのも感じている証拠だというのは、躰を見れば一目瞭然だった。
腰はひっきりなしに嬉しそうに跳ねているし、蕩けた愛液も止まらずにいる。
脚もシーツも彼女の蜜に濡れて、艶々と明かりの下で光っていた。
痛がる素振りを見せつつ快感に支配されている彼女も、可愛くて愛おしくて興奮してくる。
カーテンをきっちりと引いてあるから、今夜の綺麗な夜空を見せてやれないのは残念だ、でも大丈夫、お前が一番に綺麗な夜だから。
俺にとっての世界で、美しさの全てはお前が持っているから。
「ああっあ…っ!あっ…はあっ、あっあっあっんんっっ!」
首筋にも歯形をつけて、うっすらと血を滲ませた。
舌を這わせて舐め取ってみると、それは血の味の概念を覆すくらいに、甘かった。
欲情を高める甘さは、媚薬を連想させる。
彼女は相も変わらずバイブでイキつづけて、意識が朦朧としてきている様子だった。
「あ…っ、あっあっあっあ…っんっ、あっんっ…あっはっ」
声も、嫌がることを止めて、ただ喘ぐだけになっている。
濡れて震えるそのくちびるをキスで塞ぐと、俺は玩具を縛りつけてある縄を解いていった。
彼女は夢中になって、熱くなった舌を絡めてくる。
いちいち可愛い仕草を見せる彼女が堪らなく愛おしくて、片手でその裸体を抱き寄せキスを深めながら、俺は解けきった縄をベッドの下へ放り投げた。
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