おいでよ天使








 ヴヴヴヴヴヴッ――――…

「……っ、うっ…あっ、やめ…てっ、も…っ、あ…っ」
 部屋へ戻ると、一糸纏わぬ姿にされてベッドへと手錠で繋がれている彼女が、泣きながら上擦った声で懇願してきた。
 きちんと反省はしているようだ、お仕置きのつもりで仕込んだバイブで何度か達してしまったようで、真っ白だったはずのシーツは薄灰色に染まりぐしょぐしょに濡れていた。
 彼女の泣き声と、玩具の振動音に堪らずぞくぞくしてしまう。
 玩具なんて初めて使われた彼女は、その快感に戸惑いながらも何度もイったのだろう。
 そう考えるとあまりにも健気で、ますます背筋は支配欲に震え上がった。


「やめられたらどうすんの?また、あの男に色目でも使ってくる?」
 俺はくすくすと笑いながら、バイブのリモコンを取り出し振動を上げた。
「やああ…っ!?そんっ…な…っ、こと…っ、しな…っ、あああっっ!」
 彼女は手錠をされた手首に擦れた血を僅かに滲ませて、腰をビクビクと跳ねさせるとまたしても達した。
 バイブは収縮により抜けたりはしないよう、予め縄で腰に縛りつけて固定してある。
 ふるふると揺れ動く乳房も、淫らに俺を誘っていた。



 …――あの男というのは、彼女曰くただの幼馴染みのようだが、先日俺は偶然にもそいつと彼女がまるで恋人同士みたいに仲良く街中を一緒に歩いているところを目撃してしまった。
 何でも、幼馴染みの野郎には好きな女がいて、その相談に乗ってあげただけらしいが、誰がそんな信憑性のない話を信じると思う?
 現に彼女は、こんなにも魅惑的だ、あの幼馴染みも大方彼女のことを狙っているのだろうと踏んだ。
 これ以上、あいつに近づけるのは危険だと、俺は判断した、だいたい、人の彼女に好きな女の相談を持ちかける男なんて情けなくて女々しくて吐き気がしてくる。

 例え幼馴染みだとしても、それは主に過去の話だ、仲良くしても許される時間というのは、幼馴染み同士で恋に落ちてくっついたりでもしない限りはそう長くは続かない。
 俺に堕ちたお前には、その程度の覚悟くらいできているものだと思っていた。

 まあ、最初に声を掛けてきたのは向こうのようだし、その点は俺にとっても小さな救いだった。
 今こうして改めて話を掘り起こしているだけでも、虫酸が走ってあの男を殴り殺してやりたいくらいだが。
 それでも、計画は落ち着いて遂行させよう、今夜の夜空と、淫れたお前の姿が綺麗で心底助かったよ。

「あっ…あっあっあっ、やだ…っ!ああっあ…っ、やめっ…っ、いやあああっ…っ!」
 彼女にもっと反省して、俺だけを見てほしいから俺はいくら冀われても玩具でのお仕置きをまだ止めてはあげない。
 これは第一に、彼女のためである、危ない男には気をつけないと、お前はやたらと無防備なんだから。

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