ハッピーバースデーはカニバリズムで







「あっ…あっん、あ…っ」
 後ろから突かれ始めた彼女は自分から、腰を前後に動かしズプズプと男のモノを何度も深く咥え込んだ。
 僕は彼女とキスまでしかしたことがない、「下手くそだね」と笑って言われて申し訳なくなって、それから触れるのにも勇気が必要になった。

 彼女は僕が奥手だから、欲求不満に陥っていたのかもしれない。だとしたら、ぜんぶ僕の責任だ。下手くそでどうしようもない僕の責任だ。
 男の躰は逞しく、幾度となく出し入れされるモノも相当な大きさだった。僕にはないものを兼ね備えた男に抱かれる彼女は、やはり欲求不満だったとしか思えない。

 ごめんね、ごめん。
 頼りない僕がぜんぶいけなかったんだね。

 今すぐ彼女の目の前で謝罪をしたいけれど邪魔をするのは申し訳ない。僕はそこまで配慮の足らない人間にはなりたくない。
 せめて、せめて彼女の重荷にはなりたくないと願っても、存在自体が重荷になっているのかもしれない。
 僕は、どこに存在すればいいのかが、よくわからなくなる。




「本当に、よく締まるね、また中に出してもいい?」
「ん…っ、出して…っ、はやくぅ…っ」
 男は彼女の中へ一気に捩じ込み、射精したようだった。

「はぁ…っん、あ…っ、すご…っ」
 彼女はうっとりと、男の精液を中に感じている。
 あんなに中出しされて大丈夫なのかと、僕のなかには男への憎悪が沸いてくる。

 でも……欲しがったのは彼女だった、それを男が与えたのなら妥当であるのかもしれなくて、脳内で困惑する僕のあそこは勃起してくる。
 大好きな彼女が他の男とセックスしているのを見て興奮してしまう僕は、やっぱり醜悪な生き物だ。彼女がそんな僕とはセックスしたくないのも、頷ける気がする。


 ズプッ…ズチュッ――…

「は…っあ、あっん…っあ」
 また射精されてしまった彼女のなかから、どろどろした体液は男が突くたびに溢れだしていった。
 揺れ動く乳房を両手で揉みしだかれ、彼女の躰がビクンッと跳ねる。

「んっは、ん…っ」
 ふたりは腰を動かしながら、くちびるも重ねた。
 くちゅくちゅと舌の絡みあう音が、響いてくる。

 男は後ろから突き上げながら、片手をまわして彼女のクリトリスを弄っていた。

 ヌグッ…ヌグッ…グプッ――…

「ん…あっ、だめ……それっ」
「どうして?これ好きなんでしょ?」
 彼女は甘い声を上げて、悩ましげに腰を動かした。くちびるのあいだを、唾液の糸が切れて滴る。

 耳もとで問いかけられた言葉から、男は彼女の躰をよく知っているのだと僕は思い知らされた。

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