※※第354話:Make Love(&Nirvana).214








 お仕置きの準備を整える時間を計算しても、じゅうぶんに間に合った。

 「どうして…っ、ですか…っ?」
 後ろ手に、ベッドへ手錠で拘束をされてからようやく、ナナはその質問を投げ掛けることができた。
 「そんなん、俺が聞きてぇよ、」
 質問を跳ね返し、薔は彼女に目隠しをする。
 すでに胸とアソコにはアプリでの遠隔操作ができる玩具が仕掛けられており、ナナは足枷も嵌められすっかりベッドから逃げられなくなってしまった。

 こういうときでも細心の注意を払い、ナイトテーブルには竜紀撃退グッズが置かれている。



 「もう一人、セックスできる相手を探すつもりなのか?」
 薔は耳もとで、静かに吹き掛けた。
 はっとしたナナは彼がそういうふうに捉えてしまったのかと、焦る。
 むしろ詳しい説明でもしない限りはそう捉えられてもおかしくはなかった。

 「夢にまで見る程なら相当な願望だよな?」
 焦っている彼女とはどこまでも対照的に冷静で、けれど心持ちは穏やかでいられなくて、耳を咬みたい衝動を抑え込み薔は彼女から離れた。
 「違うんです……薔っ!」
 ナナは彼を引き留めたかったが、あらゆる場所の自由を奪われ到底不可能だった。




 「まあ、頭が冷えたら俺も、言い訳でも何でも聞いてやる……」
 彼女の言い分を聞くことなく、薔は部屋を出て行った。
 残酷で切なげな響きを残し、ドアは閉められたのだった。




 「わたしのバカぁ…っ!」
 後悔するナナの目隠しは涙で湿りだす。
 何も見えなくても、怖くはなかった、ただ彼に許してもらいたい一心で泣いていた。

 そのとき、

 ヴヴヴヴヴッ――――…

 秘裂に嵌められているバイブが緩やかな振動を始めた。


 「んっあ…っ!?」
 不意討ちを食らいふるえたナナは足枷をジャラジャラ言わせる。
 ヴァギナとクリトリスで振動は別々に操れるタイプのもので、初めはクリトリスがぶるぶると揺さぶられた。

 「あっあっあっ…ああっ、」
 感じて濡れていると、乳首に当てられたローターも振動を開始する。
 「は…っあっ、ダメ…っ、止め…てっ、薔ぅ…っ、」
 ナナは懇願するものの、彼には聞き入れてもらえなかった。
 もう、出掛けてしまったのかもしれない。
 それすらよくわからない。


 じんじんさせていると突然、秘裂の振動は止まった。
 乳首の振動はじわじわと続いている。



 いけないことだとわかっているから尚更、ナナは理解した、彼にこういうことをしてもらいたいのだと。
 お仕置きは大好きだし、意地悪をされるのも大好きだ。
 彼が帰って来たら、きちんと説明をしようと心に決めた。

 薔はこの日、竜紀から身を守るものを自身は何も身につけて行かなかった。

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