※※第354話:Make Love(&Nirvana).214
「はあ…っ、ダメですっ……薔っ……ダメっ……」
この上なく心地よい感触にしがみついて、ナナは寝言を漏らしていた。
「はあああっ!?」
そして、自分の寝言に驚いて目を覚ました。
目覚めから目はわりと爛々としており、パジャマは汗で湿っていた。
「ゆ、夢っ……?」
そうですよね、夢ですよね……と、一息ついたナナはやはりこの上なく心地よい感触にむぎゅっと抱きつく。
「何が駄目なんだ?」
抱きつかれて胸元に顔をうずめられながら、薔はさらりと問いかけた。
こちら正真正銘の薔となっております。
「ぎゃあああああ!本物の薔のご登場です、眩しい……!」
どうりで最高に心地いいはずですよと納得したナナは真っ赤っかになり、抱きついたまま彼を見上げた。
「本物?」
本物という言い分けが、攻守のほう(こけしちゃん小説のほう)かと勘繰った薔は訝しげな表情をする。
「おまえ、まさか……」
「うはぁ――――…やっぱり薔は一人じゃないとダメですね……本物は最高です……それに、二人も相手にしたらわたし、いくらヴァンパイアでもすぐに死んじゃいますし……」
桜葉小説のことを言いかけた彼より先に、すり寄ったナナはばか正直に口にした。
「……ん?」
ばか正直な独白のおかげでどうやら違うらしいと解釈できた薔は甘い雰囲気に任せて、聞き出すことにした。
「おまえ、夢の中で二人の俺とセックスしてたのか?」
「はい、そうなんです……」
ずばり問い詰めると、ナナはあっさり白状した。
目つきはとろんとして、目覚めた瞬間より眠そうに見える。
「凄かったんです……二人におっぱいもアソコも弄られて、上にも下にも代わる代わる入れられたりして……」
「ふーん、」
本物を目の前にしているとナナは俄然ときめいた、反対に薔の雰囲気は恐ろしいほど静かになっていった。
彼女が望んでいるのはあくまでも彼との激しいプレイだったのだが、3Pを望んでいると思われてもおかしくない内容だからである。
「ところで、リハーサルとやらには間に合うんですか?」
またしても彼を見上げたナナは気になって尋ねた。
貴重な姿を見られるため、密かに楽しみにしていたのもある、過去のことはもちろん知っているけれど、彼が決断したことなのだから密かに楽しみにするのは大丈夫だと思われた。
「間に合うよ?」
そら優しく微笑みかけた薔は彼女のあたまをよしよしすると、抱きついている腕を放して躰を起こした。
「でも、おまえは今日はお留守番な?」
一緒に行く予定だったが、彼は気が変わったようだ。
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