※※第363話:Make Love(&Sex aid).54







 ナナは頭がぼーっとして、とっさに彼の服をぎゅっと掴んだ。


 「おい、提案者は誰だ?」
 彼女だけに聞こえるように諭し、薔は服から放させた手を繋いだ。
 提案者は言うまでもなくナナで、強いられたがったのも誘惑をしたのもナナだった。

 ばつが悪そうな視線を向けると、優しく微笑みかけられる。
 ナナは懸命に平常を保つよう言い聞かせ、彼と一緒に歩く。


 否応なしに目立つ三人組で、周りはナナを羨望の眼差しで見た。
 あまり見られると危険なので、薔はこっそり牽制している。
 我慢を強いるのは面白いが、ばれるのは面白くない。



 「常に自覚持って、隠し通せよ?」
 手を少し強く繋ぎ、薔は念を押した。
 彼女から願い出なければ、今日は玩具をつけてお出掛けはしない予定だった。
 それなのに、彼女が進んで願い出たのだから、誰にも気づかれないように愉しみ通す以外に方法はなかった。
 彼もそれ以外の方法を、選べなくなる。

 本能で小さく頷き、ナナは彼の手の感触にドキドキした。
 自分だけを厳しく諭してもらえるのは心地がよくて、なるべくしっかり自覚を持ちながら、二人だけで共有している遊戯に悦楽を覚える。

 これが二人きりの場所だったら、思い切り乱れてしまえる悦楽だった。




 夕月は相変わらず仲睦まじい様子の二人に安心していた、幸いなことにこっそり遊戯中だとは気づいていない。
 ナナは気づかれないように細心の注意を払っているのだから当然だった、気づかれてしまったら一貫の終わりだ。
 もう、こんなふうに淫らなお出掛けをすることも二度とできなくなる。
 例えナナがおねだりをしても。

 だから、おねだりをしたからには全力でその責任を負う必要があった。




 (あ……熱い……)
 玩具を入れられた場所がじんじんするのを我慢しているナナは、午前中にも彼としてしまったことを憶い出す。
 彼の感覚は鮮明に残っており、玩具ではとても物足りなく感じるのが焦れったかった。

 ひくひくする膣から体液が溢れて、びしょ濡れになったパンツも隠さなければならない。
 何事もないような振りをして歩かなければならなくて、昂ると同時に必死に冷静を装っていた。

 修学旅行に必要なものと言ってもすでに用意してあるものも多く、結局、夕月は修学旅行とは関係のない日用品などのあれこれも買ってくれた。
 口実に使わせてもらった如月にはきちんと、プロテインを購入して自宅まで配送してもらうよう手配した。

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