※※第360話:Make Love(&Intercrural sex).219








 ナナは彼にもらったメロンパンのお返しとして、素晴らしい名案を思いついた。
 これ以上のお返しはないというくらいの、名案中の名案だった。

 「わたし、メロンパンを焼いてみたいです……」

 と。
 パンなど一度も焼いた試しがないにも拘わらず、いきなりメロンパンに手を出そうとした。
 さすがの薔もこれには驚いた様子で、一瞬キョトンとした顔も美形ならではのキョトンだった。



 「一応聞くが、何でだ?」
 「薔に美味しいメロンパンをいただいたからですよ……」
 「やっぱそうか……」
 廊下にて、校内一目立つカップルが何やらイチャイチャしているので、否応なしに目立っていた。

 「メロンパンて、材料にメロンは必要ですよね?一玉あれば、メロンパン一個焼けますか?」
 「ナナ、よく考えろ。メロン一玉使って一つのメロンパンが完成したらそれはもう、ただの焼いたメロンだ。」
 「それもそうです!さすがは薔!」
 ナナはメロンパン一個に対してメロン一玉で足りるか心配したが、薔はごもっともな返しをして彼女を感心させた。
 あんパンですらあんとパンのハーモニーがあるというのに、パンの生地を無視してメロン一玉を焼いてしまったらそれはやはりもう、メロンなのである。




 「まあ、おまえが作ってくれるなら焼いたメロンでもいいな。」
 普段料理をまったくしない彼女なので、考えると嬉しくなって薔は笑った。
 確実に、真っ黒に焦げたメロンが出て来るであろうが、彼は笑ってくれた。
 「そうじゃなくてわたしは、メロンパンが作りたいんですけど……」
 と、ナナは小さな声で反論する。
 彼が嬉しそうなので大きな声で反論はできなかった。


 「俺も作った事ねぇが、一緒に作ってみるか?」
 「はいっ!」
 やがてふたりはふたりきりの世界全開で、部活に向かって行った。
 薔はスマホでさっそく、メロンパンの作り方を検索している。

 いやもうふたりでメロンパン作るとか絶対にキッチンでエッチしますよね?……の眼差しでたまたま見ていた一同は見送った。
 三咲さんは絶対に裸エプロンですよね?……という予感もしており、強ち間違いではない。
 裸エプロンをさせたらエッチには、及んでしまうものでもある。

 こうなったら、いつまでも世話の焼けるお嬢様といかにもご主人様っぽい執事さまのふたりで幻の名水を一緒に採りに行って、スリリングに青姦でも何でもしてきてほしいくらいでもある。


 あと薔はさらりとメロンパンは作ったことがないと、明言しているのだけどナナは気づいていなかった。

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