※※第359話:Make Love(&Acme).218







 「だったら最初からそう言えよ、」
 至極もっともな言葉を呆れたみたいに落としているが、薔は笑っていた。
 「ごめんなさいっ……」
 泣きそうになったナナは彼に抱きついたまま、顔を上げる。


 「――――――うん、いいな?その表情……」
 いじらしい様子に、薔はぞくぞくしたようだ。
 両手でそっと頬を挟み、壊さずに捕まえた。

 「可愛がってやりたくなるし、苛めたくもなる……」
 相反するようでいて同じ意味の言葉たちで彼女をドキドキさせて、彼は不意討ちのキスをした。
 一瞬だけやわらかくくちびるが触れあうようなキスだった。

 どちらもじつは同じで、どちらでも構わないナナは熱くなったくちびるから荒い息を零す。


 「でも今日はおまえから来いよ、」
 薔はそのまま彼女を押し倒すようなことはせず、やはり意地悪なことを求めた。
 可愛かっているし、苛めていることに変わりはなかった。

 「積極的に動いてるとこが見たい……」
 甘い囁きが、官能を誘い出す。
 「恥ずかしい…っ、ですけど…っ、」
 と言いつつ、ナナは彼のシャツに手を掛けた。

 脱がして舐める気満々である。


 「この状態なら、恥ずかしいのは俺だろ?」
 「確かにそうですけど…っ、」
 堂々と諭されるナナは妙に納得しながら(彼は至って堂々としているのに)、シャツのボタンを外していった。
 覗いてゆく肌が美しくて色っぽくて、あわよくば彼の躰に涎を垂らしそうになる。

 いつの間にか体勢は、ナナがやや上になっている。
 ソファに片肘を突き、薔は彼女のほっぺたをくすぐったりしていた。


 やがてはだけさせるとさっそく、ナナは眼福且つ至福の胸を撫でさせてもらった。
 真っ先に乳首に触ってしまった。

 「ん……くすぐったい……」
 とか彼が言うので、自分が責めているような気分になり興奮する。
 表面上は、ナナが責めてはいる。

 「ちょっ…っ、ちょっとこのひと……エッチすぎるんですけど…っ、」
 「胸を弄ってる張本人が何言ってんだ?」
 「だってもう…っ、エッチすぎて…っ、」
 触るだけでは我慢がならなくなったナナは、言葉責めにもならないような感嘆を漏らしてから、ありがたく乳首に吸いつかせてもらった。

 「……あ…っ、ばかっ……」
 薔は少し躰をふるわせて、感じてくれた。
 息も次第に、乱れてゆく。
 ここまでしてくれるなら確かに、執事としてお嬢様のために幻の名水を採りに行ってくれそうではある、たぶん。

 ナナはヴァンパイアの能力で、咬んだ場所を敏感にしてあるため、もちろん演技ではありません。

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