※※第355話:Make Love(&Gratification).215







 びしょびしょになった泣き顔を見られて恥ずかしかったけれど、それよりもとても嬉しかった。
 彼はもう頭が冷えて怒っていないのか、彼女の本心を汲んでくれたのか、優しくするくせにキスは激しくしたりするところが狡い。


 「んっ、も…っ、挿れて…っ?」
 ナナは上擦った声で振り絞った、それが今一番、言いたいことなのが恥ずかしかった。
 でも、そうさせているのは彼なのだし、もう我慢ができない。
 「もう?帰って来たばっかだぞ?」
 キスはするのにまだ挿れてはくれないのか、吐息がくちびるを撫でる距離で薔は聞き返した。
 ゆびがしなやかに、髪を伝い落ちる。


 「うそつき…っ!もっと早くに…っ、来ました…っ!いじわる…っっ!」
 ナナは彼を責めてはいけないとわかっていながら、責めてしまった。
 やるせなくて、自制が効かなくなっている。

 「……ああ、そうだったな……」
 彼女はおそらく花子のことを言っているのだろうと、薔は悟った。
 かなり早くに帰って来ていたと勘違いしていたのだと思うと、尚更面白くて愛おしくなる。




 「これは?解くか?」
 足枷を引っ張ると、薔は確かめた。
 今、彼女は大きく脚を開いている状態で、解いたほうが断然自由に突き上げられる。
 解いている時間も惜しくて、ナナは首を横に振った。

 「いいのかよ、足首痛てぇだろ……」
 妖しく微笑んだ彼は解くことなく、バイブを抜いた。
 とろとろの愛液を纏った玩具はスイッチを切られ、ベッドの隅に押しやられた。







 ズプッッ――――――…

 「あっあっ…ああっ、」
 キスの激しさとは対照的に、ゆっくりと挿入された。
 「奥からきつく引き寄せてて、気持ちいいよ……」
 薔は挿入時と同じくらいゆっくり、突き上げだす。
 足枷で足首が痛まないように配慮してスローにしているのか、意地悪でスローにしているのか、どちらかと言うなら意地悪だろう。
 玩具で放置プレイの段階ですでに、足枷は繋がれていたのだから。

 「あっあんっ、や…っ、焦れった…っ、」
 緩やかに突かれて、激しくして欲しいナナは切実に訴える。
 「でもおまえ感じてるだろ?」
 焦れったくされる快感をきちんと得ていることを、薔はしっかり感じ取っていた。
 スローに腰を振っても、彼女の膣は嬉しそうに彼を締めつけている。

 「あっ…あああっっ!」
 ナナは絶頂を得て、乳首につけられたローターを外されていった。
 「な?俺の言った通りだ……」
 乳房にキスをした薔はわざとらしくいったん抜くと、またゆっくりと挿入したのだった。

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