※第48話:Love(&Destiny!).37






 そして隣の部屋を、ちょっとだけ遡ってから描き出してみよう!


 「おまえな、友達想いなのはますます惚れるが、これ、何て書いてあんだ?」
 「いや、すみません…、自分で読み直してみても、よくわからないんです…、って、今なんとおっしゃいましたぁ!?」
 落ち着いて胡座をかく薔と、真っ赤になったナナ。

 「“何て書いてあんだ?”と、言ったが?」
 「その前ですってばーっ!」
 ナナはけっこう、必死。


 「“これ、”か?」
 「もういいですーっ!」

 もどかしくなったナナは、とりあえず、そっぽを向いた。



 しかし、すぐに、

 ぎゅっ

 と、後ろから抱きしめられた。




 「怒ったのか?」
 「いや、怒ってなんかいないです、勢い余っちゃいまして…、すみません。」
 そっぽを向いてはみたものの、すぐに謝った、ナナ。


 そんななか、

 「なぁ、ナナ、」

 抱きしめながら、薔は囁いた。


 「壊れるほど、おまえを感じたいんだが、ダメか?」







 「えっ……?」
 心臓が跳ねた、ナナの髪にゆびを這わせて、


 「ナナ……、セックスしよ……」


 どこかしら切なげな声で、薔は囁いた。




 「どうなさったん、ですか?」
 胸が締め付けられたナナは、とっさに尋ねていて、

 「おまえが、愛しすぎて、下手すりゃ俺は、狂うぞ……、俺には、おまえしか…、おまえじゃなきゃ、ダメなんだ……」

 切ないまま、薔は続けます。




 ギュ―――――…

 同じく、切なくなったナナは、彼の両手を握りしめた。


 「ナナ……」
 そっと彼女を離した薔は、やはり、ひどく切なげな表情で、

 ぎゅうっ

 と、ふたりは向かい合って、つよく抱き合ったのでした。





 「わたしも、薔じゃなきゃダメなんです…、好きです、ほんっとに、あなたが愛しいです……」
 泣きそうなのを、必死で堪え、告げたナナを抱きしめて、

 「なぁ、ナナ、覚えてるか?」

 薔は、言葉にした。


 「堕ちるとこまで共に堕ちようと、俺がおまえに言ったことを、」







 「はい…、覚えてます…」
 腕のなか、確かにナナは口にして、

 「堕ちる、つうのも、様々だが、おまえとなら、言えるよ、」

 それはとても、力強くやさしい声で。



 「俺たちは、堕ち続けながら、昇りつめてんだ、って、ことをな。」









 「その感覚が、確かに今、ここにある。」
 そう告げた薔の腕のなか、ナナは泣いていた。


 「うっ……う………嬉し、っ、過ぎますっ、てぇ…っ!」
 「風呂入ったみてーだが、泣かせちまって、悪かったな。」
 泣きじゃくるナナの涙を、しばしゆびで拭っていた薔だったが、

 ちゅ

 途中から、頬へのキスに変わっちゃったんです。


 「んあ…っ、くすぐった…、ぁっ、」
 「じっとしてろ、キレイに舐めてやるから。」

 とは言っても、頬で終わるわけありませんからね、

 チュ――――…

 キスはくちびるにも、たどり着いちゃいましたね。


 「ん……っ、」

 くちびるだけではなく、悦びに濡れてゆくその情緒は、咲き乱れ散りゆこうと、幾重にも咲き誇るであろう。


 「は…っ、ぁ……っん、」
 キスに何もかもを奪われていたが、

 「あ………」

 いったんくちびるが返されると、

 ふわり――…

 火照り過ぎたナナのからだは、薔に抱きかかえられた。




 「続きはベッドでするか、」
 「はい…、」

 ふたりは、いつもと違うベッドの上へと向かったのでした。

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