第5話:Game(+Spread).3




 (あんなかわいい女の子がクラスにいたなんて、わたしはしあわ)
「お前の声はもはや奇声だな。」


 …………でぇぇぇぇぇえ!?


 意気込みむなしく、すでに隣に、薔は座っていた。


「暮中さん!いつからそこにいらっしゃったんですかぁ!?」
「今お前に対して“絶対的な権力をかざしてるあのひと”とやらの存在が明白になった瞬間には、すでにいてやったぞ。」


 …………ひぇぇぇぇぇえ!!
 これならいっそ、正確に時間を計っててほしかったよぉ!


 (あ!でも、傘のお礼、言わなきゃ!)

「あ、あの……」
「なんだ?」
「かか、か、か……」
「あ?」




 あれ……………?




 このときナナは、薔の異変に気がついた。


 (な、なんだろう、今日のこのひとは、)




 ……かお、少しほてってるし、瞳はうつろだし、胸元、いつも以上に、はだけてるし………



 (犯罪的に色っぽいんですけど……………!)




 あわわわわわ!!




「どーしたんですか!?今日のアナタは色気の集大成ですか!?」
「色気皆無のお前に、色気の何がわかるんだ?」


 ……………………ひどい。
 これでも一応、ほめちぎったのに。






 隣に座っているので、
 (どうしよう………!本当のこと言うと記念にビデオカメラとか回したいんだけど、それじゃあただの変質者だよ!)
 ナナが、あたまのなかは変質者だったとき、

「おい、」

 ぎぇぇぇぇぇぇえ………!!

 いきなり声をかけられた(いきなりの場合、多いけど)。


「な、なんですか?」
「お前は合格だ。」
 ………………はい?

「なにに、ですかね?」
「よって今日からお前は、俺を名前で呼んでいーぞ。ありがたく思え。」

 わたしの質問は………?
 いつものことだけど。


「“さん”はつけろよ?」


「え、えーと……でしたら、あの、薔さん、」
「なんだ?」
「わたくしそんなに嬉しくない気も、しなくもないん」
「気のせいだ。」
 ……………おおお(泣)



 いや、嬉しいとかいう気持ち以前に、恥ずかしいんですよ!



 (それにしてもなんでこんなに、顔ほてってるんだろう?まさか熱あるのかなぁ?)


 ………………………熱?


 ガバッ



 ナナはとっさに、薔のひたいへと手をあてていた。


 (あつぅぅぅぅぅぅう!!)
「ちょっ、どう考えてもこれ、高熱なんですけどーっ!!」
「おい、」

 ……………………は!!




「どこ触ってんだ?逆に触られてーのか?」




 その質問、変質者には痛いですよーっ!!
 ……それより、心配しているんですけど!!(※“それより”でくくったところ、内容入れ替えろよ。)

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