※第48話:Love(&Destiny!).37






 「でもぉ、具合悪いってのはぁ、良心につけ込む形になっちゃうよねぇぇ。」
 「そうなんだよねぇ。」
 とまぁ、メモったりしながら、ナナとこけしちゃん、作戦会議中のことだった。


 コンコン

 ノックの音がして、

 「あたし出てくるねぇぇ。」

 ニコニコとこけしちゃんがドアに向かっていき、

 「うーん、」

 ナナは一人でも名案を出そうと、考え込んだ。





 ガチャ――――…

 こけしちゃんがドアを開けると、

 「あれぇぇ?薔くぅん?」

 が、荷物を持って立っていたんです。



 「桜葉、荷物まとめて替れ。あいつが待ってる。」
 と、こけしちゃんにカードキーを渡し、薔が言うと、

 「ほんとぉぉにぃ?」

 パァアと明るくなったこけしちゃんは、おっとりにおいてのいそいそで、部屋にいったん戻っていきました。




 床に座り込みブツブツと言っているナナのそばに置いてあった、自身の荷物をまとめて持つと、

 「ナナちゃぁん、良かったねぇぇ。」

 にっこり言ったこけしちゃんは、部屋を出ていきました。








 「こけしちゃん、どうしたのかな?まだ、名案出てないんだけど、」
 キョトンとしたナナは、再びメモに目を落とし、ブツブツいい始めた。



 すると、

 ふわっ

 後ろから、抱きしめられたんですな。


 (え―――――――…?)
 大好きな匂いにも包まれて、ドキッとしたナナの耳元、そっと声は響いた。



 「なにやってんだ?」












 ―――――――…

 パタン…

 すぐ隣の部屋だと言うのに、こけしちゃんは息を切らしている。

 「ゾーラ先生ぇ、」

 そして、ゆっくりと、距離を縮めていったのでした。








 醐留権はソファにもたれ、こけしちゃんを待っていた。

 「桜葉、」
 醐留権がやさしく微笑むと、
 「ゾーラ先生ぇ!」
 泣きそうになったこけしちゃんは、彼に抱きついていた。


 「どうしたんだい?桜葉、」
 ひどく心配そうに、醐留権が尋ねると、
 「先生ぇ、あたしねぇ、不安だったのぉぉ。」
 涙声のこけしちゃんは、しがみついて明かす。



 「――――――――…」
 刹那か、醐留権はとても深い瞳を放ったが、

 「桜葉、すまなかった。」

 こけしちゃんのあたまを、撫でながら言いました。


 「君の不安も、すべて受けとめる、私は君を愛しているんだ。」






 「ほんとぉぉにぃ?」
 涙を浮かべたこけしちゃんの瞳は、次第に明るくなって、

 「本当だとも。愛してるよ、桜葉。」
 微笑んだ醐留権は、

 チュ――――――…

 こけしちゃんを抱きしめ、キスを落としたのでした。







 「んん………っ、」
 けっこう深いキスで、かなり火照ったこけしちゃん。

 ッ―――――…

 醐留権は少しずつ、くちびるを下へと滑らせていったのだが、


 「あぁっ、」


 こけしちゃんの身体には、ちょっとした異変が起きた。



 「ゾーラ先生ぇ、ちょっと待っててぇぇ。」
 トイレに向かった彼女は、しばらくして戻り、ばつが悪そうに告げた。


 「生理がくるのをねぇ、計算に入れてなかったのぉぉ。」






 「ぷっ、」
 醐留権は思わず笑い出して、

 「生理前だからねぇ、すごぉく、エッチな気分だったのかもしれないぃ。」
 恥ずかしそうに、こけしちゃんは明かしたのでした。




 「なら、桜葉、一緒に寝ようか?」
 「うんぅ。」

 こちら様はプラトニックとでも言うべきか、眠るため、一緒にベッドへと入っちゃいました。


 「生理のときは、ちゃんとあたためたほうがいい。もっとこっちに来なさい。」
 「えへへぇ。」

 こけしちゃんと醐留権は、初めて、寄り添って眠りに就こうとした。

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