第45話:Love(&Action!).36





 「なかなかやるな。」
 ちょっと上のほうに立って、薔は醐留権の闘いを眺めていたのだが、

 「一番狙われてるのは、お前なんだぞ!?」

 ひとりのオトコが牙と爪を剥き、つかみかかろうとした。

 そしてシャツを、尖った爪で掴んだ瞬間、

 ドガッッ―――――…!

 ジャケットのサイドに両手を突っ込んだまま、やっぱりソイツの股間を薔は膝で蹴り上げちゃいました。


 「ふぐぉお……!」
 激痛に悶絶したオトコは、シャツを掴んだまま床に倒れたので、

 ビリッ

 ジャケットには問題なかったんですが、シャツだけすこし、裂けちゃいましたね。



 ドサッ…

 床にオトコは、股間を両手で押さえ倒れ込む。



 「良かったな、俺の血が流れなくて。」

 薔は落ち着いて笑っているのだが、

 ゴク……

 他のオトコらは、息を飲んだ。

 (いやぁ、なんでこんなんに、なっちゃってるんだろ!?)





 「おい、」

 ギクッ

 とすると、薔は堂々とオトコらを見下ろしていて、


 「なに、俺のカラダ見ておっ勃ててんだ?この淫蕩どもが。」


 かなり妖しく、笑いました。



 (それ、僕らも聞きたいんだけどね、どうしてなのか、わからなくもないんだよ!)







 「まぁ、いい。どけ、」

 慌てふためくオトコらをよそに、言い放った薔は奥に向かって歩き出した。

 「そっちは、だめだって!」
 制止にかかった一人は、

 ギリッ…

 強く腕を掴まれた。


 「いたたたたた!」
 ゆびは長く細いので、腕に深く食い込んでゆく。



 「どけ、つったんだが、聞こえなかったのか?」

 眼鏡越しだが、やっぱり、有無を言わせぬ目つきです。




 「うぅ…っ!」
 クーラーとは関係のない寒気がしたオトコらは、青ざめて後ずさった。


 「ってぇーっ!」
 腕をようやく離されたオトコは、痛みのあまり床にうずくまる。


 薔は至って堂々と、奥に潜む扉のまえへ歩いていった。



 オトコらはもう冷や汗をかいているが、震えることはできても動くことができない。




 ギィ―――――…

 少し軋む扉を開くと、薄暗い中へ螺旋階段が続いている。


 コツ…

 あまり周りは見えないわけなのだが、薔は特になんてことなく、堂々たる風格で下っていったのでした。

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