第45話:Love(&Action!).36






 ホストクラブ『ROSE thorn』には、立派な駐車場があった。

 お客様は皆さん少女なので、今のところ一台も車は、停まった事がない。
 おまけに、さらってきているわけだし。



 ときは、17時ちょっと前。


 そこに、立派な、漆黒のベンツが停まりました。
 初めてこの駐車場を利用した車が、高級車で良かったね。

 うん、きっと!



 勢いよく、前方両ドアが開きます。



 バタン



 スラリとした、ふたりの男が降り立ちました。


 説明させていただくと、ひとりは白スーツに黒シャツで眼鏡、落ち着いた茶髪、つまりは醐留権先生です。

 もうひとりは、黒スーツに白シャツで黒髪、そして、こちら様も眼鏡です。



 「暮中、眼鏡と髪型だけで、本当に大丈夫なのか?」
 「あぁ。ぜってーにヤツらは、まず気付かねぇ。」

 まぁ、だれだかは、すぐおわかりになられましたよね。


 変装なのか、薔も眼鏡をかけて、髪型はアシンメトリーになっております。
 アイテムとしては、伊達眼鏡ですな。


 そんでもって、ふたりとも、夏のスーツなのにめっちゃ涼しげです!


 「しかし君は、スーツけっこう持ってるんだな。私には少し、幅がきついが。」
 「それより、早く行くぞ。」

 ふたりの美形眼鏡男子が、威風堂々と歩きだしちゃいました。






 「こんな時間も営業しているとは、けしからんな。」
 「今後二度と、できねーがな。」
 前を見据えたまんまの、会話。








 マネージャーは門番をしているので、なんだか頼りなさそうなホストが一人入り口に立っていた。


 「あれ?」
 まぁ目立つんで、早くもふたりに気づいたようです。



 「えーと、見たことないお顔ですが、なにしに来たの?」
 見たことないってアンタ、やっぱり気づかなかったね。


 「雇われに来てやった。」
 「ぇえ!?」
 返事に驚いたホストだったが、

 「うーん、仲間のようだし、こんだけかっこいいんなら、さらに人間が集まるよなぁ。よし!入って!」

 すんなり入れちゃったよ。



 「仲間…?」
 「それについては後だ。だが、安心していい。」
 周りには聞こえない声色で話すと、ふたりはヴァンパイアのホストクラブへと、足を踏み入れたのでした。

 つまりは能力効かないんで、仲間だと勘違いしたようです。







 「たぶん奥の部屋に、リリュークさまいるから!」

 笑顔のホストは明るく言って、ドアを閉めた。


 「聞いたこともない名前だったな。」
 「あぁ。もう忘れた。」




 踏み入れた途端、薔薇の香りが立ちこめており。
 すでに入り口から、壁際にはたくさんの薔薇が飾られている。


 「ほう、」
 感心する醐留権のとなり、

 「ふーん、」

 店内へと視線を送り、薔は余裕の笑みを浮かべた。


 「アウェイかと思ったが、ホームだったか。」




 醐留権は立派な教師なので、アウェイとホームの意味はわかった。



 佇んでいた薔薇たちは、おそらくふたりを歓迎したのでしょう。



 「さて、行くか。」



 薔と醐留権を、何事もなくメインルームへと招き入れたのでした。

[ 499/550 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る