第45話:Love(&Action!).36












 …――――――真っ暗だな。

 わたしのせいで、こけしちゃんまで、危ない目に遭っちゃったな……。
 醐留権先生、心配しちゃうよ。
 ほんとうに、ごめんなさい。


 ……なんだか、いい匂いがしてる。
 ちょっときついから、あのひとほどではないけど。


 気をつけて行ってこい、って、言われたのにな。



 こんなこと言ってる場合じゃ、ないかもしれないけど…、


 会いたいよ。



 ただ、今すぐ、あなたに、会いたいよ――――――…
















 「詳しく説明してる時間は、ねぇな。」

 名刺を手渡され、リビングにて一部始終を聞き終えた薔は、立ち上がった。

 そして、

 「あんたのサイズは?」

 と、醐留権に問いました。


 「なんのことだ?」
 「いつも着てんだろ?スーツの、だ。」
 この光景を見ながら、花子は凛と伏せをしております。

 「は?」
 何事かと思った醐留権のまえ、


 「俺にいい考えがある。」


 奥の部屋へと厳しい視線を向け、はっきりと薔は言いました。




 …いい考え、とは!?











 ――――――――…

 「しかし、囮ともう一人手に入ったのはいいが、あの子にこの場所がわかるのかぁ?」
 ご存知なホストクラブで、とあるホストがアダルに声を掛けた。

 「あ、あぁ、それなら心配ないさ。偶然現れたやつに、ボクの名刺を落としてきた。」
 「お前、頭いいなぁ。」
 笑ったホストは、アダルの頭を撫でようとして、やめた。

 (かなり傷んでるから、撫でると悪いな。)


 作戦のように思われたのだが、アダルはこのことを特に他のホストには話そうとしなかった。
 そこまで頭が、回らなかったためだ。




 さて名刺のご挨拶は、吉と出るか?凶と出るか?







 地下室にて。

 「昨日アダルからね、詳しい話を聞いちゃったんだよね。」

 鉄格子の扉を開け、こけしちゃんだけを中に横たえると、リリュークはナナを抱えたまま扉を閉めた。


 「詳しい話、と、おっしゃいますと?」
 こけしちゃんを抱えてきたマネージャーが、(あれ?その子は?)と思い、尋ねると、

 「このナナちゃんを操っている人間は、かなりの凄腕らしい。」

 リリュークは答えた。


 「上玉ですからね。」
 「どうせ血液に、翻弄されてるだけだよ。僕のほうが圧倒的に凄いのだということを、思い知らせてやりたい。」
 リリュークは、螺旋階段に向かって歩きだす。




 「目覚めたら別館で可愛がるから、キミはここで門番をしていて。」





 「かしこまりました。」
 マネージャーが頷くと、微笑みかけてからリリュークは階段を上がって行った。
 もちろん、ナナを抱え上げたまんまね。


 リリュークは、アダルとモンズグを連れて、ホストクラブを後にした。


 …………別館、とは?

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