※第44話:Love(&Thorn).35





 「え?」
 キョトンとする、ナナ。

 「ここでいいな?」
 花子を離し、薔はテーブルからも離れると、フローリングの床に片足を伸ばした。

 花子はとっても嬉しそうに尻尾を振りながら、奥へと入ってゆく。


 唖然としていたナナは、
 「えと、くちに、で、いいんですよね?」
 と尋ね、
 「足だ。」
 はっきりと、薔は言い放ちました。


 ……………ぇえ!?



 ナナは真っ赤でふるえだしたが、

 「できねーのか?」

 薔は静かに問いかける。




 ゴク…

 息をのむ、ナナ。


 彼女は床に這いつくばると、伸ばされた薔のつまさきへと顔を近づけていった。


 (うわぁ…!ほんっとキレイだよ!)
 とか想っていると、

 スッ――――――…

 くちびるが触れることなく、目の前から足は消えた。


 (あれ……?)
 ナナが顔を上げる前に、

 クイ…

 両手で頬を挟まれ、薔に顔を上げられた。




 「ほんとにすんな、足だぞ?」






 「だっ…て、」
 もはやナナの瞳は、うるうるしまくっております。

 「おまえは俺の女だが、誇り高きヴァンパイアだろ?」
 頬を挟み込んだまま、真剣な眼差しで告げた薔でしたが、


 「いまのわたしにとっての誇りとは、あなたへの愛です!」
 泣きそうになったナナは、けっこう叫んだ。



 「―――――――…」
 薔は黙っている。

 「だから、足にキスだってできます!なんでもできます!」
 とうとう、ナナの目からは、涙が一粒流れ出た。


 泣きつづけようとした彼女の頬に、

 そっと、薔のくちびるが触れる。


 ビクッとしたナナが、さらに泣くことはなかった。




 「…悪りぃな、まさか泣くとは思わなかった。」
 ナナを抱き上げて、薔は告げる。
 「いや、あの、わたしこそほんとうに、ごめんなさい…」
 しがみついて、ナナも告げました。



 しばらく、熱く抱き合っていたが、


 バッ――――…!


 突然、薔はナナを引き剥がした。



 「………………ぇ?」

 何事かと思い、切なくなったナナのまえ、

 「ごめん、」

 彼女の見ている前ではいつにもなく、頬を赤らめて、切なげに俯く薔は口元を押さえている。


 「おまえは午後出かけるのに、悪かったな。」






 ああぁ…、
 もう、ほんと…困りますって、






 クイ―――…

 今度はナナが、薔の頬を両手で挟み込んでいた。


 「…ナナ?」
 薔はすこし、驚いたようで。


 「まだ、2時まで、二時間以上もあります。」
 力強く言ったナナは、

 「さっきの分、取り戻させてください。」


 チュ――――…


 くちびるを重ねた。




 「ん…………」
 薔はナナのあたまに、腕をまわす。

 ドサッ

 そのままフローリングに、倒れ込んでいった。







 「はぁ…、ンっ、ん、」
 折り重なって、舌を絡めた深いキスを交わしていた。

 「ん…っ、ぁ…、」
 濃厚なディープキスで、かなり火照ってしまい、


 「はぁ―――――――…」


 くちびるを離したとき、けっこうふたりはぐったりしていた。



 「取り戻すもなにも、おまえ、なんも離れてねーぞ?失ってもな、」
 「はい……?」
 うえで目をぱちくりさせたナナですが、

 「それより、」

 寝そべって、堂々と薔は言ったんです。


 「勃っちまった。」






 ……………えええ!?




 「た、確かに、」
 「どーすんだ?これ、」
 折り重なって、会話を交わしております。


 (こうなったら…、いいかな!?)


 「あ、あの!」
 「あ?」
 とうとうナナさんは、提案だかしちゃいました。


 「わたしに、なんとかさせてください!」



 ってね。




 「いいのか?」
 「はい!お願いします!」

 おもむろにナナは、からだをずらしてゆく。

 「ムリはすんなよ?」
 「ムリなんか、これっぽっちもしてません!」

 カチャ――――…

 ベルトに手を掛ける、ナナ。




 「なぁ、ナナ、」
 「はい…?」

 いろいろ外し終えたナナのまえ、すこしだけからだを起こして、

 「ソレ飲んだら、エッチしたくなるぞ?」

 薔は妖しく笑った。



 …はわわわわわ!




 いったん真っ赤っかになったナナですが、思いきって、舌を伸ばした。

 「あ……」
 薔は微かな、声をあげる。

 「ん…………」
 ナナはすこしずつ、くちびるを動かしてゆく。


 「…っあ、ッ、」
 動きに反応し、身を捩る、薔。

 今まで教わったやり方を生かすよう心がけていたナナだったが、途中から、夢中になった。


 「はぁ…っ、はぁっ、」
 薔は熱く深い呼吸を、つづけている。



 「あ…っ、ッ、そこ、すげぇ、イイよ…、ナナ…、」
 動きに激しさや優しさや深さが加わって、薔はナナのあたまを撫でながらからだを反らす。

 「んんん……」
 咥えたまま、舌で先を舐めたりしているうちに、

 「ばか…っ!でる…から、離せ…ッ、ぁ、く…っ、」
 歯を食いしばった薔だったが、どうやら限界でした。

 ナナももちろん、離しはしなかったんで、


 「―――――――…っあ!」


 口内に、発射されちゃいました。

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