※※第43話:Make Love(&Love!).7
王国ホテルに到着したのは、11時30分頃だった。
待ち合わせより一時間も早く、ホテルに着いてしまった。
ちゃんと日本にあったんで。
なので、ふたりして、ホテルのレストランでランチにしたんです!
高級割烹の件もあるので、比較的カジュアルな雰囲気のお店が選ばれた。
席もちゃんと、空いておりました、時間が時間なので。
(えええ!?なんだか、デートみたいになっちゃったよ!)
ナナはドキドキひとしきりですが、いつもによってすべて、薔にお任せした。
ちなみに薔は朝から、ナナ作の砂糖以上に甘いものしか食べておりません。
レストランの店員さんたちは、
「えぇーと、あちらのおふたり、どこかで見たことが、あるんだが…、特に、男の子のほう…」
「そうなんですよ…、しかし、思い出してはいけない雰囲気が、漂っておりますね…」
とか、ひそひそと話しております。
無事にお食事は運ばれてきたんですが、カジュアルな中でも高級そうであった。
「ぇえ?こんなスゴイの、戴いてもいいんですか?」
「いいに決まってんだろ?遠慮すんな。」
ということで、美味しくランチとなりました。
ナナさんはけっこう、見よう見まねで食べた。
食べ終わる頃、店内は満席状態だった。
「いやぁ、どれも美味しかったんですが、薔の作った料理のほうが、美味しいですね、やはり。」
「おまえ、そのセリフいつか、俺にも言わせてみろよ?」
…いつになる、ことやら。
視線を感じなくもなかったが、会計は無事に済まされた、薔によって。
レストランを出ると、時刻は12時20分ちょい過ぎだった。
「ごちそうさまでした!」
エレベーターの中、ナナはぺこりとあたまを下げて、
「おまえ、帰りは大丈夫か?」
と、薔に聞かれたので、よくよく考えてみると、帰りのことについてをまったく考えていなかった。
「ぁあ!大丈夫じゃないです!来るとき、道順とか見ておくべきでしたが、わたしほとんど、薔しか見ておりませんでした!」
「なら、後でもっと見せてやるから、終わったら電話よこせ。」
素直に述べたナナの口説き文句は、受け入れられた。
ようだ。
ナナは口を開けて真っ赤になっていたが、気づくとふたりして花壇の前に立っていた。
「あの…、やはり、帰りは一人で帰りましょうか?何回も行き来は、大変なんで、」
「なに言ってんだ?」
……………え?
「俺はこの中で待っててやる、時間潰す場所なら何気にあるからな。」
……ぇぇえええ!?
「いいんですか!?」
ナナは、喜んではいたが、何処で待つのかが気になった。
まぁ、ホテルにはね、色んな施設があるからね。
「当たり前だ。何かあった場合も、すぐに電話よこせよ?いいな?」
そう言い残すと、薔は背を向け立派に歩いていった。
(おおお…!なんかドキドキしちゃうよ!どうしよう?)
心臓を押さえていたナナのもとへ、
「ナナちゃぁん、」
おっとりとこけしちゃんが、声を掛けてきた。
「こけしちゃーん!」
ナナはテンションが、色んな意味で上がっております。
「ごめんねぇぇ。待ったぁぁ?」
「大丈夫だよ!待っている時間も、幸せすぎたから!」
ふたりは手を取り合い、はしゃいだ。
けっこうフォーマルな格好で。
こけしちゃんも、ワンピースだった。
しかもその上に、ストールを羽織っていた。
(こけしちゃん、かわいいよーっ!)
しみじみする、ナナ。
「ナナちゃぁん、とぉぉっても、大人っぽいのぉぉ。」
こけしちゃんも、にっこりとご感想。
「こけしちゃーん!」
えーと、こちら一応、王国ホテルのフロントの前の、花壇の前。
ややこしい。
「じゃあぁ、ナナちゃぁん、座ってからぁ、色々と説明するねぇぇ。」
「うん!」
ふたりはラウンジに入ったのでした。
こけしちゃんの話では、本日このホテルで、醐留権が見合いをするらしいのだ。
しかもその詳細を、わざわざ醐留権はこけしちゃんに、明かしたようで。
13時から、ランデヴーラウンジにて、どこぞやの令嬢と、らしい。
予感が的中すれば、こけしちゃんとその令嬢には面識がある。
ナナとこけしちゃんは、こそこそと奥の席に座った。
そしてやっぱり、15分前に、こけしちゃんには見覚えのあるオンナが、母親らしき人物としらっとやって来た。
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