第42話:Love(+Friendship!).34
やり方を教えてもらい、無事に手料理を披露できそうです。
IHのやり方を、教えてもらったんですよ?
ちゃんとね。
そして、完成したメニューとは!?
「玉子焼きです!」
玉子焼きについてのご説明は、省かせていただこう。
「・・・・・・・・・・・・・、」
ナナ作:玉子焼きを前にした薔は、黙り込んだ。
(どうなさったのだ?)
キョトンとしたナナだったが、彼は黙って一口食べた。
そして、言ったんです。
「…甘ぇな。」
「え?そうなんですか?」
「砂糖のがもっと、甘さ控えめだぞ?」
………ぇぇぇえええ!?
思わずナナも、一口食べた。
「甘ぁぁぁぁぁあ!!」
そして彼女はすこし、むせた。
目分量は、ベテランになってからの秘技としようね。
「いや、だって、あのっ、最近、薔がかなり痩せてしまったんで、元気になってもらおうと、」
「俺は至って元気だ。おまえがいるからな。」
…うっひゃああ!
「それに玉子焼き、つうのはな、薄く焼いた玉子で形成されてんだ。おまえのは、いわば、そぼろだ。」
「そぼろーっ!?」
エプロンを掴む、ナナ。
玉子焼きについてのご説明は、省いたつもりがいささか為された。
「だいたいおまえ、糖分過剰は血液濁るぞ?最終的に脱毛だ、俺は。それでもいーのか?」
「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!?」
ナナは驚愕のあまり、震え出した。
そんでもって、引き止めに入った。
「やめてください!それ、わたしが食べます!」
と。
「なに言ってんだ?」
ところが薔は、落ち着いて返した。
………………はい?
「これはおまえが、俺のために作ったんだろ?全部俺が食う。次から控えろ、という意味だ。」
………はいぃい!?
「大丈夫ですか!?キレイな血でいてくださいね!?ハゲちゃ、えっと、あの、やです!」
「安心しろ。これなら大丈夫だ。ハゲとか言うな。」
…よかった、このシーンに、横科先生がいなくて。
校長先生は、気にしてないからね。
玉子焼きと思いきや卵そぼろを、薔はちゃんと完食した。
「なんだかんだで、美味かったな。」
きゃあ――――――――っ!!
「おおおっ!よかったです!このキレイな血液とお髪のためにも、わたし料理に励みます!」
「おい、」
……………はっ!!
「あんま撫でんな。乱れるぞ?」
どぎゃあ――――――――――――っ!!
どさくさに紛れて、けっこう髪を撫でていた。
「ぉぉお!ほんとすみません!」
「他を撫でるか?」
……えっ!?
いいんですか!?
…――じゃなくて!!
他への愛撫に及ぶのか!?
と想われたところへ持ってきて、
〜♪〜♪
ナナの携帯が、着信を告げた。
(おわぁあ!!)
ビクッとしたナナは、
「はやく出てやれ。」
薔に促されて、携帯を手にした。
ご想像いただけたかと思いますが、こけしちゃんからでした。
「おはよう!こけしちゃん!」
昨日のこともあり、明るく朝のご挨拶。
のナナに向かって、
『おはよぉぉうぅ、ナナちゃぁん、』
いつものおっとり声に、ほんのりプラスされた逞しさでこけしちゃんは言いました。
『これからぁぁ、一緒にぃ、行ってほしい場所があるのぉぉ。』
と。
言わせていただこう。
それは、パイデリアじゃ、ないんだからね!
It does not break,
I would only like to gather you up!!
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