第4話:Game(+Sadness).2
すごくキレイな部屋だった。
殺風景、でもないが、余計なものがない部屋だった。あ、リビングのことね。
そしてもんのすごく、いい匂いがするんだよ!
(あわわわわわ!てっきりドクロとか床に熊とかいると思ったけど、なんもないよ!)
ところで、同棲相手はどこにいるんだ?
………そもそも、わたしを招き入れて良かったのか?
「ワン!」
ワン?
振り向くと、とても美しい毛並みで、優雅なたたずまいの、ゴールデンレトリーバーがそこにいた。
「おぉお…………!びっくりしたぁ!てっきり、同棲相手ってワンちゃんなのかな?って思っちゃったよぉ!」
「その通りだ。」
……………………え?
「同棲相手って、そのお方ワンちゃ」
「花子だ。」
………………はなこ?
「ただいま。」
そう言うと薔は、花子の頭を撫でた。
花子は尻尾を振って、喜んでいる。
え?
ものすごく絵になると同時に、その花子ちゃんが羨ましいという気持ちを押し殺せないんですけど。
というか、
一番には、ホッとしてるんだわ、わたし―――――…
ふと目をやった、壁に。
写真が、飾られていた。
家族の写真だった。
(こちらがお父さまとお母さまと、おばあさまと弟さま、かな?ずいぶん昔の、写真だなぁ……………)
闇の帝王と銀座ナンバーワンには、どう見ても見えないなぁ。←それ覚えてたんだ!
んんん?
そもそも、家族写真なんだから、あのひとが写ってないのがおかしいんだけど。
それにしても、この、おそらく弟さま……、
めっちゃかわいい……………。
あのひとに瓜二つだけど、この子は笑顔がいい!
あどけないし、けなげだし。
5歳くらいかなぁ?
まさに、天使のようです。
「弟さま、かわいいにもほどがありますね……………」
「それは俺だ。」
……………うそ?
「ばばばばばかなこと言いやがらないでくださいよ!この子、まるで天使ですよ!?」
「なにが言いてーんだ?」
うん、その言い方と聞き方が、おそろしいんだよ。
「いや…、なんだかなぁ、あはは。あの、本物の天使さまだと思ったもので。」
「お前、やはり吊されてーのか?」
ひぇぇぇぇぇぇえ……!
花子ちゃんの見てるまえで、それだけはやめてよ!
しかしここで、やめておいたほうがよかったのか、悪かったのか。
おそらく悪かったのだろうが、こころは、痛いよ。
「そう言えば、ご家族さまは今どこにいらっしゃるんですか?」
「あの世だ。」
……………………え?
「冗談、ですよね?」
「二度言わせるな。」
「全員、死んだ。」
[ 42/550 ][前へ] [次へ]
[ページを選ぶ]
[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]
戻る