第42話:Love(+Friendship!).34





 足音を立てないよう、ナナはベッドへと近づいた。

 ベッドサイドには、薄明かりが灯っている。


 (わぁあ…!もうっ、寝顔かわいすぎて、わたしはちゃんと寝られるのかぁ!?)
 ベッドの横にしゃがんで、とにかく魅入る、ナナ。



 しかし、

 ……………はっ!!

 とした。


 (ぎゃあ!ここでずっとこんなことしてたら、変態みたいだよ!)




 いざ!寝よう!

 と呼吸を整えたが、

 (ダメだ――――――っ!!どうやって乗るんだぁ!?起きちゃったら、どうするの!?)

 整うわけがなかった。




 (よし!わたし!こうなったら、ソファで寝よう!)
 ちょっとしたガッツポーズを取った、ナナ。


 は、

 「おい、」

 いつの間にか起きていた薔に、声を掛けられた。


 「なにやってんだ?おまえは、」




 (えぇえ――――――――っ!?)



 「すみません!なにか音立ちましたぁ!?」
 「音は立ってねーが、ヘタすりゃ勃つぞ?」

 ぎぇえ――――――――っ!!


 (寝たまんま、その色っぽいおカッコで、そういうコトをさらっと言わないでください!)

 これはもうソファしかないか!?などと思われたかは、定かではないが、

 「なぁ、ナナ、」

 シーツに身を預けている薔は、甘えた声を出した。



 「一緒に、寝よ?」








 (このひとのこういうスイッチっていうのかな、は、どこで入るんだろ?探してみたいな、)
 とか想いながらも、ちゃんとナナはベッドに入った。

 (いや、そもそもさわってないときに入ること多いから、スイッチじゃないのかな?どうなんだろう?どうしよう?)

 とりあえず仰向けに寝てから、

 チラリ

 とナナは薔を見た。




 彼は微笑みかけたりせず、細めた瞳でぼんやりとナナを見ている。


 (えええええ!?このパターンでこの表情は、最近にしては珍しいよ!困る!どうしよう!?)
 いったんナナさんは、天井へ目を戻した。


 ドキドキドキドキ


 (おお落ち着こう!わたし!何が何でも、落ち着こう!)
 このセリフの時点で、まったくもって落ち着いていない。




 そのとき、

 スッ―――…

 薔が右手を伸ばした。


 落ち着くことに必死になっていたナナのくちびるに、そうっと細いゆびさきが触れる。


 ビクッとしたナナは、動きをしばし止めた。


 ッ――――…

 ゆびは下唇を、ゆっくりと撫でてゆく。



 「ナナ、」

 そして薔は、言いました。


 「キス、したくねーか?」








 落ち着くことなど到底無理な話なので、ナナはひたすらドキドキしており、

 「ゆびのキスでいいなら、このまま続けてやる。」

 囁くよう、口にすると、薔は滑らかにゆびを動かし出した。




 微かな息を、上げるナナ。


 …―――ゆびだけで、いいのかな?
 ゆびももちろん大好きだけど、キスは、やっぱり……、




 もはやナナは、ぽーっとしてきてしまった。

 「も…、やです……、ゆび…だけじゃ………」
 くちびるを撫でられながらも、熱い息と共に言葉を出すと、

 ギシ…

 すこしだけベッドは軋んで、

 「はぁ―――…」

 片肘を立てて横になると、薔はナナを覗き込んだ。


 「いや、あの…、」
 うるみまくった瞳で、なにかを言いかけたナナだったが、

 「それ以上、言うな。」

 すっと伸ばした人差し指を、そのくちびるに当てて、

 「感じたときだけ、素直に聴かせろ。」


 チュ―――――…


 薔は、くちびるを重ねたのでした。

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