第42話:Love(+Friendship!).34





 ギク…

 ぴたりと泣き止んだ、ナナ。

 「聞こえて、ました?」
 「あんだけ大声出してりゃ、当たり前だな。」

 ……ひゃあ!


 「あーっ!遅くなってしまったんで、お土産忘れました!」
 「別にいい。おまえが無事、帰ってきたからな。」

 …ひゃぁぁあああ!!



 「あとシャツは、アイロン掛けしてあり持ち帰りました!制服も出来てました!」
 「あぁ、悪りぃな。重かったろ?」

 …ええ!?

 「まったくもって、重くなかったです!」
 「おまえのそういうとこもやたら好きだが、無理はすんな。」

 ……ええええええ!?


 (ちょっと待って!わたし今、抱きしめられてるよ!)
 今に始まったことでは到底ないのだが、ナナはドキドキ真っ赤になった。


 「ふるえてんな。大丈夫か?」
 そっと問いかけた薔ですがね、

 「ふるえてるんじゃないです!ドキドキしてるんです!」
 正直に答えた、ナナ。




 すると、

 「そうか、」

 クイッ―――…

 抱きしめたまんま、薔はナナの顎を持ち上げた。

 「もっと、するか?」




 「いや、もう、心臓止まる勢いなんですけど、」
 「止まんなよ。」

 ……えええ!?

 ときめきの骨頂だかなんだか、ふるえるナナに迫る、薔。


 「それよりおまえ、俺を止めてみろ。」




 これはいい雰囲気か!?

 と想われた矢先、


 ぐぅ


 ナナのお腹の虫が、なんと、薔を止めた。



 (うぎゃあ!恥ずかしい!)
 頼むよ、ナナさん。

 「腹減ってんのか?」
 特に何ということもなく、落ち着き過ぎた薔が問いかけたので、
 「じつは、なんか、焦げたお芋しか食べてないんです…、」
 素直に明かした、ナナ。


 「それをはやく言え。」
 彼女のあたまを撫でてから、立ち上がった薔はキッチンへと入っていった。



 (おおお…!一日目にしてこのドキドキを、なんとかしてください!)
 心臓を抑えたナナは、座ったまんま真っ赤になった。

 花子は、この光景を見ながら、ウトウトしていた。









 そんでもって、ちゃんとしたお夕食を、しっかりと戴いたナナなのでした。
 もちろん、薔も、済ませてあったわけないので、一緒のディナーと相成った。











 ―――――…

 色々と片付けたりしてから、ナナはお風呂に入った。
 一緒には入らなかった、ご様子です。
 なんせ、お風呂は済ませてあったんでね、薔は。



 そして上がった頃、日付は変わろうとしており。



 (おおお!この後やはり、一緒に寝るの!?)
 期待だかに胸膨らませ、とにかくドッキドキのナナは寝室に向かった。








 ガチャ――――…

 ドアを開けると、まず、花子がお出迎えした。

 「花子ちゃん、」
 やさしくそのあたまを撫でたナナだったが、

 おやすみ、

 とでも言うかのように尻尾をぴょんと振ると、穏やかな表情で花子は寝室を出ていった。




 「え?花子ちゃん、もう行ってしまうの?」
 ナナはドキドキしながら、薔が声を掛けないことを不思議にも思った。

 こういう場合、たいていというか、ほとんどというか、彼はですね、


 (おわぁあ!寝てらっしゃる!)


 なんですな。

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