第4話:Game(+Sadness).2




 (き、気まずい………)
 無言で歩く、雨のアスファルト。
 この気まずさ、どうにかならないかな?
 と、ナナが考えていたとき、
「言ってやるが、」
 びくびくぅ!
 突然、薔が、放った言葉。

「俺は同棲をしている。」
「……………は?」

 同・棲?

「そのつもりで来い。」


 なんでわたしは、かろうじて同棲の意味は知っちゃってたんだろう?


 でも、待て!

「あのー、それ同棲という名の“監禁”のことじゃ」
「こっから車道に押し倒すぞ?」
 ………………えぇえっ!?




 チクチク
 なんだ?
 この胸のいたみは。
 このひとって名前のとおり、棘、持ってるのかな?
 …………明らかに持っとるな。
 別の意味で!







 なんだかすごい、高級そうなマンションについた。
「すごいですね〜!こんなとこ、家賃いくらするんでしょうね〜!?」
「月25万だ。」
 …………でぇえ!?
「ここなんですか!?それよりその金額、うちのお父さんの月収より高いんですけど!?」
「お前、親父いんのか?」
「え?あ、はい…………」
「ふーん、」


 ……………………。


 やだ!
 この雰囲気、ものすごくやだ!

「い、行きましょうか?」
 なぜかナナからそう言い。
「お前から言うな。逆に吊すぞ。」
 ………………へ?
「吊され甲斐ならある。安心しろ。」

 意味がわからずついていった薔の部屋は、15階に位置していた。
 確かにここから吊されたら、たまったもんじゃないね。

 …………………帰りたい!!

 あたふたしているナナは、
「早く入れ。」
 と襟を掴まれ、ものすごく不本意ながら、悪魔の屋敷へと足を踏み入れたのだった(屋敷というか、マンションだよ)。

[ 41/550 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る