※※第41話:Make Love!(&Cosplay).6





 アナルセックスしちゃったんですけど、準備に戻らないとね。

 ナナはちゃんと着替えたんですが、

 「おまえ、なんか服貸せ。」

 薔がこう言ったんで、よくよく考えてみると彼の服は、ナナが洗濯しちゃったんです。


 「え?あ、はいっ!かっこいいのを、探してみます!」
 必死で選び倒しに、取りかかったナナ。




 しかし、彼女の持っている服で、薔に似合うものを探すのは至難の業だった。




 「これが一番、よいかと思われます!」
 迷い抜いた挙げ句、ナナが彼に差し出したのは、


 赤い文字で<LOVE>とプリントされた、ピンク色のTシャツだった。




 「・・・・・・・・・・・・、」
 Tシャツを手にした薔は、黙り込んだ。

 「こちらが、一番、シンプルなんですが、」
 シンプル・イズ・ザ・ベストとでも言いたいのか、ナナがモゴモゴしていると、

 「…メッセージは解ったが、これしかねーのか?」
 ようやく薔は、口を開いた。

 メッセージ、てのは、LOVEのことだよね、きっと。


 「いや、ほんとに、すみません!あとはクマちゃんとか、うさぎとかネコとか、ごしゃごしゃとか、」
 「おまえの柄センスは、表彰モンだな。」

 …………はい?

 呆気にとられるナナのまえ、

 「まぁ、いい。」

 薔はそれを、着ちゃいました。




 (うわっ!かわいい!!)
 キュンとし過ぎたナナは、


 「いいいい一枚、写真撮らせてください!」


 食いつきまくったのだが、


 「んな暇あったら、準備しろ。」

 薔は落ち着いて、準備へと取りかかってしまった。



 (エッチする時間はあっても、写真撮る時間はないんですかぁ―――――――――っ!?)

 ナナは、心に、ツッコミを押し留めた。



 「そーいや、おまえ、制服はどうしたんだ?」

 薔がこう問いかけたので、ナナは、

 ギクッ

 とした。


 制服はあの雨の日に、泥まみれになってしまったので、シミ抜きだのなんだので、未だクリーニングから戻ってきていないのだ。


 「え、えーと、まだクリーニングに行ってます、」
 「随分、長げぇな。」

 ……うぎゃ!?

 「いや、あの、ちょっと時間がかかってまして、」
 「………………、」

 このとき、夏休みに入る前、ナナの制服姿を最後に見た日の出来事を、薔は思い出した。



 よって、彼は、

 ぎゅっ

 と、ナナをつよく抱きしめて、そっと囁いたのでした。


 「っとに、おまえは、嘘が下手にもほどがあるな。」








 なんだかんだで、その後はスムーズに、事が運んだのでした。









 13時過ぎに、なんだか豪華なお弁当を買い込んだ父と母が帰宅した。

 父と母は、すぐに間違い探しができたのだが、なにも言わずにおいた。


 無言のランチと思いきや、けっこう会話が弾んだ。
 ような気がする。




 きちんと干してある薔のシャツと、ナナの制服は、後日取りに戻ることとなった。






 んでもって、15時。

 「ハザマ引っ越しセンターで〜す!」

 ちゃんとした業者さんが、明るくお目見えした。


 「どおも〜。この度は、ご結婚に伴うお引っ越しという事で、誠におめでとうございます〜。」
 世間話でも軽くしてから作業に取りかかろうとしたハザマさんたちだが、

 (だれがそんなこと、言ったの――――――っ!?)

 とりあえずナナは、心でツッコんだ。


 「いやぁ、若奥さん、若すぎる!」
 ハザマさんたちは、とりあえず褒めた。


 「ぇえ!?こちら、旦那さん!?イケメンすぎますね!」
 こう言ったハザマさんたちは、若すぎる云々以前に、


 (この子の、このTシャツは、こちらで正しいのだろうか?)


 その点について、疑問を浮かべた。




 「なにしてんだ?はやくやれよ。」
 「ぇぇぇあはいっ!お任せください!」

 ふたりのハザマさんは、荷物を運び出しに取りかかったのでした。






 重たいものも特にないので、順調なまでにすべてトラックに乗った。




 荷物は運べるが、人は運べないので、ナナと薔は普通に歩いて新居(じゃないけど)に向かうことになった。



 「ナナ、達者でな。」
 「身体には気をつけるのよ?」

 感動的な、巣立ち、と思いきや、

 「お父さん、お母さん、薔の家からここまで、歩いて30分も掛からないよ。」

 そりゃそうだった。



 「そういう事実はこの際言わずに、ちゃんと濃厚なキスとかしてもらうのよ?」
 「そうだぞぉ?」
 この期に及んでの、母と父に、

 「本人の前で、それ言わないでよ―――――――っ!」

 ナナはけっこう叫んだ。



 「なに言ってんだ?すでにセック」
 「ぎゃわーっ!」

 話、遮っちゃっていいの?



 肝心な部分が遮られたが、いささか汗をかく父と、喜び勇んだ母は、娘を見送ったのでした。

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