※※第41話:Make Love!(&Cosplay).6
シーン…
ふたりっきりに、なっちゃったよ。
ドキドキドキドキ
静かになったこの空間で、ナナの心音は聞こえてもおかしくはないほどだ。
「ナナ、」
ふっと、名前を呼ぶ薔の声が響いて、
「は、はい?」
ビクッとしたナナは、彼を見た。
そして、薔は言いました。
「おまえ、これ着てみろ。」
「ぇえ!?恥ずかしいですってーっ!」
びっくり仰天したナナは、ちょっとのけぞる。
「俺の前じゃ、着れねーのか?」
薔はちょっと、不機嫌になる。
「だ、だって、時間とかは大丈夫なんですか!?」
ナナさんは、必死。
「安心しろ。時間ならたっぷり取ってある。」
薔は平然としており、
「だが、焦らすなよ?俺は向こう見ててやる。」
かなり妖しく微笑みかけると、ナナに背中を向けたのでした。
(久しぶりに着るから、着れるかなぁ?)
そろそろと、ナナは服を脱ぐ。
チラチラと薔を見ながらだったが、彼は終始向こうを向いていた。
(あ!ちゃんと通った!)
ナナは、ある意味、大感動である。
(おおお!良かった!まだ着れるじゃん!)
無事に着替え終わったナナは、ご丁寧なことにフリル付きのカチューシャまで装着したのでした。
「あのぅ…、着れました…」
恐る恐る、薔へと声を掛ける。
「あんま、待たせんなよ。」
薔が振り向く。
メイド服を着たナナは、頬を赤らめながらもじもじしていた。
薔は呟く。
「…かわいいな、」
「おわぁ!ほんとに恥ずかしいんで、やめてください!」
真っ赤っかになる、ナナ。
しかし、
「ナナ、」
大胆不敵に、薔は言った。
「抱いてやるから、こっち来いよ。」
「ぇぇえ!?抱くって、このカッコでですかぁ!?」
こう叫んだナナにとって、抱くとは、抱きしめるということである。
「当たり前だ。はやく来い。」
そして、堂々と薔はつづける。
「えーっ!」
恥じらうナナに向かって、
「なぁ、ナナ、」
諭すよう、薔が言いました。
「おまえは今、メイドだろ?」
「え?あ、はい、」
ナナはキョトンとする。
「てことは、俺はなんだ?」
大胆に、つづける薔。
うーん…
考え込んだナナは、
…あっ!
閃いた。
「ご主人さまです!」
「よく出来たな、」
笑った薔は、
「なら、おまえ、」
半ば、ナナへと命じました。
「俺の言うこと、ちゃんと聞けよ?」
「いや、もう、けっこういつも、聞いてる気がしてならないんですけど、」
ナナはおもむろに、薔へと近づく。
スッ―――…
やがて、目の前に立っちゃったよ。
くいっ
途端にナナは、顎を持ち上げられた。
ツ―…
そのまま、親指がくちびるを撫でてゆく。
目を逸らしたくなるほどの激情のなか、ナナは、切なげに瞳をうるませた。
「エロい顔して、煽ってんのか?」
妖しく笑った薔は、
チュ――…
顎を持ち上げたまま、そっとキスを落とした。
「んっ、ふっ、」
やさしかったキスだが、深みを帯びてゆく。
もはや、顎から滑り落ちた手はあたまにまわされ、背中もつよく片手で抱きしめられていた。
膝がガクガクとして砕けそうになるナナを、
きゅっ、
と、薔が抱き上げる。
舌は舌をなぞり、奥へと這い入る。
ちゅくっとしたなんとも言えない濡れた音を立てて、キスをむさぼった。
「はぁ―――――…」
くちびるを離されたとき、ナナは本日一番のぐったり具合だった。
「立ってらんねーなら、寝かせてやる。」
火照りまくった彼女を、薔が抱きかかえようとしたとき、
「ま…、待ってください…」
「あ?」
おぼろげに、ナナは声を振り絞った。
「なんか…、すごく…、喉、乾いたんで…、お水、飲んできます……」
と。
「血ならあるぞ?」
「うぎゃあ!血だと潤いすぎちゃいます!」
ぐったりしていたナナさんは、仰天して元気になった。
「なら、はやく行って来い。」
惜しい気もしてならないナナは、それでもキッチンへと向かったのでした。
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