第4話:Game(+Sadness).2




 ナナは、こころに決めた。
「お父さん!」
 ちなみにここは、三咲家です。
「お父さん、ヴァンパイアについて、聞きたいことがあるの!」
「おお、ナナ。なんでも聞きなさい。お父さんはなんでも、お前に教えてやるぞ。」
 ナナの父。職業:会社員、ちなみに御年388歳。

「お父さん、香牙って、消せないの?」
「なんだ、そんなことか。」
 ナナがこころに決めたこと。それは、
 ―ヴァンパイアの能力を、封印してしまうこと――――――…

「ナナ、ほら。」
 ナナの目の前に、ナナ父は、随分と趣のある箱を差し出した。
 開けるとなかには、指輪が3つ、入っている。
「これ、なに?」
「香牙をはじめとするヴァンパイアの能力を、封印できる指輪だ。」
 き、
「聞いてないんだけど…………。」
 こんなものがあるなら、もっと早くに教えてよ!

「ちなみにこれ、ヴァンパイアになれば、ひとりひとつはもらえるぞ!」
「…………え?…効力はすごいのに、扱いが、ちょっと、ひどくない……………?」
 オマケかよ、これは?
「ちなみにこれつけたら、フツーにご飯食べられるから。」

 ……早く言ってほしかった感が、増量しちゃったじゃないか!


 ……待てよ?

「もしかして、これつけたら、吸血行為も止まるの?」
 ナナのなかに、一筋の光が差したのだが、
「それは無理なんだ!吸血行為は能力ではなくて、宿命だから!」
 一瞬で途絶えた。

 ……………あああ(泣)

「そうなのか………。これつけたら、あの悪魔から逃げられるかと思ったけど、無理なのか……………。」



 ………………悪魔?(※ナナ父、こころにはてなマーク)

「ナナ、お前、悪魔ってだれだ?」
「同じクラスにいるよ。」
「いや、ナナ、若干Q&Aが噛み合ってないよ………。だれの影響………?」
「はぁ…………。」

 ナナが、お父さんの話を聞いていない!?


 ガタッ

 立ち上がった、ナナ父。

「ナナ!お前、その悪魔とやらを、うちに連れてきなさい!お父さん、知り合いにエクソシストいるから、頼んで祓ってもらうよ!」
「……………無理だよ。」

 え?

「エクソシストじゃ、無理だよ。第一うちに連れてきたら、逆にエッチなことされるよ。」

 な―――――――っ!?

「ナナ!お前その悪魔に、魂売っちゃったのか!?」

 大声でナナ父がわめいていると、

「うるさいわ!」

 バン!

 奥の部屋(おそらく寝室)から、背の高い女性、ナナ母が現れた。

「今私は、演歌聴いてるのよ!?日本の魂、演歌!」

「は…………はい……………」
 怯えるナナ父。

「わかったら一緒に聴く!?」

「はい………!ハニー!キミとなら、念仏でも騒音でも……………!」(※もはやアンタそれ、音楽じゃないよ。)

「よし来なさい!」
「は……はい………!」

 手をとり、奥の部屋に消えるふたり。

 それを見ていたナナは、一言。

「ああいう男女の関係って、いいなぁ……。」

 本気か?アナタ。

 ちなみにナナ母、専業主婦、御年はナナ父に同じく、彼を尻に敷いている。

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