※※第39話:Make Love(&Gasp).5





 「どこにも、行きません。ただ、毛布を、」
 「いーから、ここにいろよ。」

 ナナのTシャツを掴んでいた薔の手は、静かに落とされた。


 「なぁ……、」





 だめだった。


 抑えとか我慢とか、もうとっくに、限界だった。




 ドサッ――――…

 ナナはソファのまえに、跪く。

 そのまま、かがんで、両手で薔の頬を挟み込んだ。


 「ナナ………」

 甘い声で名前を呼ぶと、薔は両手をナナへと伸ばす。

 その手が顔に触れた後、


 チュ―――…


 かがみ込んだナナは、やわらかくくちびるを重ねた。



 「ん……………」

 かおからあたまへと手は伸びてゆき、髪にゆびさきが絡まる。


 はじめは、触れあうばかりのキスだったが、


 チュク――…


 ナナの口内へ、すっと薔の舌は入り込んできた。


 「ん………っ、」
 まずは上部が、丁寧に舐めまわされる。

 上あごを伝うように、なめらかに舌は動いていって、

 舌を絡め取った。



 「んん…………」
 この状態で、膝がガクガクして仕方ない。

 骨抜きとは、よく言ったものだ。


 チュプ―――…

 うわくちびるに吸いつくようにして、くちびるは離された。


 ガクン――――…

 ナナは薔へと、倒れ込む。



 「…っも、だめ、です………」

 熱い息を吐きながら、途切れ途切れに告げると、


 グイッ――――…


 いきなり、ナナを抱いて薔はからだを起こした。



 「だめなのは、俺だって同じだ。」





 「や……、あ…っ、」
 耳もとで言われてしまったので、ナナはからだを反らして悶える。


 ちゅくっ

 しかし、耳のなかへと舌を入れられていた。


 「あ…っ、だ…め………」

 さらにからだを反らしたが、耳は執拗に舐められてゆく。
 音が立つため、聴覚も刺激される。


 「だめっ…………」
 思わずナナは、身を捩って、薔の肩を掴んでいた。


 ギュ

 掴んだ手はすぐさま離されて、

 ツ―――――…

 ゆびさきを、舌が伝ってゆく。


 「あ……………」
 うっとりと見つめ返すナナは、


 「おまえ、」


 真っ直ぐ薔に見つめられ、命じられたのでした。



 「ここに座れ。」






 「え――――…?」
 肩で息をするナナはぼんやりと彼を見つめながら、“あなたのうえにですか?”と想った。

 「ほら、はやく。」
 しかし、薔は起き上がって、ちゃんとソファに座りました。


 ナナはぎこちなくではあったが、隣にちょこんと座る。



 必死になって、まえを向いていると、

 クイ――――…

 顎をゆびさきで持ち上げられたが、向きは変えられなかった。



 言葉も出せずにいるナナの耳もとへ、

 「かわいいな、」

 ゆっくりと薔が近づく。


 そして、吐息混じりの囁きは堕とされた。



 「つづき、するか……」

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