※※第39話:Make Love(&Gasp).5





 んまぁ、ちゃんとカラダも洗いっこしたんで、そのあとは拭き合ったりして、リビングへとやって来ましたね。


 ナナは、よく、気絶をしなくなった。

 偉い!
 …のか?




 (わぁあ!もう、エッチで困るって!)
 とか想ってるナナですが、セックスにまでは、及んでないよ?

 つづき、というかご褒美は、どうなったんだ?




 花子は、リビングにて、ふたりを交互に眺めております。

 ちなみにまだ、17時くらいです。


 ということでふたりは、髪も乾かしてちゃんと正装したんです。



 んでもって、

 「ナナ、」

 薔は言いました。


 「出掛けるぞ?」




 「あ、はいっ!」

 どこへ行くのか?というお話ですが、なんだか見覚えのある道をふたりは歩いていったのでした。








 ふたりが出掛けた頃。

 予想通り、最上のブログやなんやらは炎上していたので、コメント機能などは停止されていた。



 停止するまえの、コメント、抜粋。

 “前から気づいてたけど、調子に乗りすぎ!”

 “あの女の子のほうが、よっぽどかわいいよ!謝れ!”

 “てかあの男の子、めちゃくちゃかっこいいよ!最上には、無理だ!”
 “いや、もう、ファンだよ!”
 “ファンクラブって、あるのかな?”
 “渋いおじさまも、ステキだった!”

 ※コメント同士での会話に、なっちゃっとるよ。


 “みんな、傷ついてる佐江子ちゃんに、なんてこと言うんだ!”
 “お前、帰れ!!!!!!”


 etc…


 批判的なコメントが圧倒的多数のなか、励まし系のものもちゃんとあった。



 「なによぉ、なにげに、優しいヤツいるじゃん。」
 ものすごく久しぶりに、最上はファンに対してありがたみを感じ、泣いたのだった。


 番組の視聴者は、なかなかのものだった。

 一番の高視聴率を叩き出したシーンは、ご想像にお任せします。










 では、もう、戻そう。

 ふたりは、またしてもSUTAYA(ほんとごめん)にいた。


 ゴルゴンゾーラさんが、とりあえず少しと、ナナのたっての要望で、ゴールデンレトリーバーの感動系映画が一本、今のところカートに入っております。


 店内を、手を繋いで歩いておりますがね、

 「なんか、あのふたり、見たことあるんだけど…、」
 「うん、すごく、最近だよね?」

 とかいうひそひそ話が聞こえてきますね。


 (あわわぁ!これはまずいよぉ!)
 ナナばかり慌てふためいているが、薔からは、“絶対に邪魔をするな”オーラが放たれていた。

 さいわいにも、DVDの棚がひしめき合っているので、一度にたくさんの人目につくこともあまりなかったし。




 そしてふたりが、奥の方にあるヴァンパイアもののコーナーへとやって来たとき、

 「あのぅ……、」
 「なんだ?」

 ナナは勇気を振り絞って、薔へと尋ねたのです。


 「こないだも気になりましたが、この黒いカーテンの向こうには、なにがあるんですか?」


 と。




 「・・・・・・・・・・・・、」

 いったん黙った薔は、ちょっと呆れた顔をした。


 (あれ?もしかして、幼児向けとか?)
 いや、ナナさん、それはまったくの逆だよ。



 「おまえ、そこは、一緒に入ると、バカップルの仲間入りだぞ?」

 落ち着き払った薔の、これは忠告か?


 「え?そうなんですか?」
 ナナは目をぱちくりさせる。


 「バカップルにも色々あるが、そこへ一緒に入るのは、かなりみっともねぇ。」
 諭すように、薔が言いましたのでね、

 「わかりました!教えてくださり、ありがとうございます!」
 ちょっとした感動を覚えたナナのあたまのなかには、<幼児向けコーナー>、とインプットされた。




 再び歩き出したときの、会話。

 「あんなん見なくとも、俺がいるだろーが。」
 「えええ!?そりゃ確かに、かわいいですけどもぉ!」
 それとなく、意味はき違えて通じているよ。

 「あ?」
 「わぁ!すみません!かっこいいです、ほんと!」

 ナナさん、バカップルには、ご注意をね。





 んでもって、ヴァンパイアコーナーにて、さり気なく一本、カートに入りました。


 カウンターで、店員もふたりをチラ見しまくっておりましたが、男性の店員さんだったので、オーラより眼力のほうがハンパなかったのでした。




 さあて、帰ってDVD鑑賞かな?

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